熟れた太陽から、あの夏の匂いがした。

 ――すごいね。すごく、愛の詰まった名前だね。

 笑顔でそう言ったあと、彼女はすぐに顔を曇らせた。

 その言葉は彼女にとっては失言で、幼いころの私にとってはかすかな希望であり、時として皮肉にもなった。

 夏がくる。

 今年もまた、夏がくる。