ちらり、とベランダを見る。カーテンを少しだけめくると、太陽はじりじりと照って、室外機はベランダに真っ黒な影を落としていた。
 ベランダに干せば、ブランケットはすぐにからからに乾くに違いない。
 みーちゃんが帰ってくるまでに取り込んでしまえば、私がベランダに出たことなんてわからない。少しくらい、なんてことない。
 洗濯機からブランケット取り出して、窓の鍵を外した。
 もしかしたら、ものすごく悪いことをしてるかもしれない。
 罪悪感が沸き上がってきた。でも、他に乾かす場所はない。ごくり、と唾をのんだ。
 ごめんね、みーちゃん。
 カラリと窓をあけると、車やトラックの音が大きくなって、ぬるま湯みたいな風が首筋を撫でた。ひさしぶりのエアコン以外の風。ほんものの空気。
 すうっと深く息を吸った。肺が少しだけ重たくなって、わずかに色づいたような気がした。
 ベランダに置かれたサンダルに足をいれると、砂ぼこりで足の裏がざりっとした。手すりから軽く身を乗り出して、辺りを見渡す。