「……みーちゃん?」
「隙ありっ!」
 眉をほぐしたみーちゃんが、さっきよりもずっと強くくすぐってきた。マットレスが大きく揺れて、タオルケットが床に落ちる。ひいひい笑ってるうちに目尻が濡れた。お腹が苦しい。苦しくて、楽しい。
「もうっ! みーちゃん、明日もお仕事でしょ。ちゃんと寝なくていいの?」
 そう言って、すぐに後悔した。冗談のつもりだったけど、生意気に聞こえたかもしれない。ふくらんだ気持ちがしおしおしぼんで、幸福に苦しかったお腹が真っ黒に濁る。
 謝らなきゃ。いますぐ謝らなきゃ。
「みーちゃんっ、あのっ」
 みーちゃんの指先が、ひらきかけた唇にそうっと触れた。ほほ笑むように細められた瞳にやさしく捕まえられて、呼吸を忘れる。口のなかで、ごめんなさいが溶け消える。
「おやすみ、あーちゃん」