指と指のあいだに滑り込んでくる、五本の指。骨に皮膚が貼りついただけのみーちゃんの指は、ごつごつしてちょっと痛い。でも、それは「嫌な痛い」でも「こわい痛い」でもない。みーちゃんの指であるという証の痛さ。
「わ、くすぐったい!」
 とつぜん、足の裏を爪先でつつかれた。反撃するとお腹をくすぐられ、笑いが止まらなくなった。みーちゃんはくすぐるのがうまい。
 身体を捩りながら一生懸命手を伸ばして、みーちゃんのお腹に触れた。くすぐり返そうと思っていたのに、その硬さに思わず手がとまる。
「なんでみーちゃんのお腹、こんなに硬いの?」
「あーちゃんが来るまえは、毎日ジムに通ってたから」
「毎日?」
「うん、毎日。雨の日も、雪の日も。嵐の日はさすがに行かなかったけどね。腹筋、いちおう割れてるよ。さすがにバキバキってわけじゃないけど」
「ほんとう? すごい、見せて見せてっ」
 身を乗り出すと、みーちゃんの眉がぴくりと寄った。それだけで急に空気が重たくなって、息が詰まった。