スクリーンの映像が、瞬く間に変わっていく。先ほどまで見ていた景色が、そのままの視点で映し出されている。意識はここにあるはずなのに、映し出されている景色は止まることなく変化していく。

 まるで自分の意識と肉体が切り離されたかのような感覚。自分の意思とは関係なく進む世界。

 私は、どこか知らない、どこまで続いているのかわからない深い暗闇の中で、その映像を見ていた。
 
 これで何回目だろうかと、自然にそう思ってしまうほどには、度々この場所を訪れている。
 
 最初の頃は、しばらく時間が経てば現実に戻っていた。だが回数を重ねるごとに、ここにいる時間がどんどん長くなっていくことに気づいた。物を持つ手は自分のものではないようだったし、発する言葉も選択する行動も、およそ自分の意志とは無関係もので、夢でも見ているような感覚だった。
 
 だが、不思議と、この場所にいることに不安を感じることは無かった。むしろ、この場所を忘れてしまうことを、私は何より恐れていたのだと思う。

 やがて、視界が暗闇に包まれ、その映像は見えなくなった。