ピンポーン。

 土曜日の朝の11時、アパートのチャイムが鳴った。ドアを開ければ立っていたのは、美来だった。

「美来!?どうしたの!?」
「去年、来年も一緒にお花見行くって約束したじゃん!だから、来ちゃった!びっくりしたー?」
「びっくりしたけど……!もし、私が用事でいなかったら、どうするつもりだったの!?」
「……?ホテル探して、一泊して、また明日来る予定だったけど」
「馬鹿なの!?」

 私のツッコミを聞いて、何故か美来は嬉しそうに笑っていた。
 大学生活一年目は忙しかったので、あまり地元にも帰れなかった。それでも、地元に帰れば、美来とも遊んだ。それでも、お盆とお正月の帰省の時だけだった。

「よし、七海!とりあえず、今日の予定を教えて!」
「え……?いや、今日は何も予定ないけど」
「本当!?じゃあ、早速お花見に行こうよ!私、ここら辺の桜の名所調べてきたの!」

 美来は携帯を取り出し、私に行きたい場所の地図を見せる。

「ほら七海、準備して、一緒に行こう!」

 高校生の時と違って髪も染めて、メイクもして、服もさらにお洒落に変わったはずなのに、笑顔でそう言う美来は、高校生の時のままだった。