期限としていた一週間が経ち、八月に入った。二度目ましてで訪れる真木さんの家の前で、チャイムを鳴らす指がためらっている。

 モダンでお洒落な外観から、お嬢様感が漂っていて、なにより敷地も広い。その威圧感に再度圧倒されながら、ええいと決心を固めて押した。
 音楽が流れるのとほぼ変わらないタイミングで、玄関のドアが開く。

「待ってたよ、春原さん」

 長い廊下を渡り、二階へ通された。真木さんの部屋はシンプルで、物が少なく整っている。ごちゃっとしている私とは大違いだ。
 テーブルの横に、持ってきた花の折り紙や材料の紙袋を置いて腰を下ろした。クラスメイトの家へ来たのは初めてで、そわそわしてしまう。

「どれだけ集まった? こっちは五十くらい」
「すごいです!」
「私少ししか折れなくて。ごめんね」
「そんな! すごく助かります。私の方もかなりありますよ」

 近所に住む同級生の二人が、周りから集めてポストへ入れてくれた。折り紙の話が広がって、別のクラスや他学年の人からも協力を得られた。
 中には、祖母や妹が手伝ってくれた人もいて、さまざまな形の折り紙が全部で百を超えた。
 正直、これほど集まると思っていなかったから、この量を目の前にして心臓が震えている。

「えっ、待って。春原さん、いくつ折ったの?」
「えっと、三十五枚、だったかな」
「すごすぎない?」

 感心するような口ぶりの真木さんに、大きく首を振って。

「ほんとはもっと作りたかったけど、一日五枚くらいしか、折れなかったから」
「いやいや、桜にコスモスに、星? かっわいいなぁー。このクオリティで五枚は時間かかるでしょ。私、鶴と猫が限度だったから」
「言い出したの私なので、なるべくたくさん作りたくて。鶴も猫も素敵です」

 その時、インターホンが鳴って、お互いに目を合わせた。たぶん、あの人だろう。