「なんかあったのかよ」

「えっ、怖っ……」

「あ?」


つい心の声が漏れてしまった。

それに対して水無瀬くんは鋭い目つきでこちらを睨んできている。

だけど……嫌いなら言ってもいいよね?


「いや怖いわお前、普通に怖い」

「……なんだよそれ」

「この際だから言うけど、私もアンタのこと嫌いだから安心して?」

「お前のくせに生意気だな」

「知らない知らない、正直に言っただけ」


あー……!なんかスッキリした!!

心の中にあったモヤモヤが少し解消されたようで、とても楽になった。


「そんなこと言うやつじゃなかっただろ。人当たりがいいって噂だったじゃねぇかよ」

「表向きだけだよ。それが一番楽なだけ」

「じゃあなんで急に」

「私死ぬんだー今から1年後ぐらい?寿命の売りすぎっていうかね〜お金欲しさに気がついたら、ね」

「……バカだな」

「……は?」


今バカっつったかコイツ……。

私がどんな思いで、寿命売り続けてきたかも知らないくせに!!


「お前の方がバカだし。わざわざ敵作るような真似してほんとバカ」

「……じゃあ俺らバカ同盟だな」

「はぁ?何それ?」

「大嫌いだからこそ本音ぶつけていいってルール、作らねぇ?」

「キモいよ、どうしたの急に……」

「お前面白いから。遊んでるだけ」

「あっそ……」


バカ同盟?嫌いだからこそ本音……。


「……悪くないんじゃない」

「お前こそキモいじゃねーか」

「はぁ!?うるさい!!」

「はっ、まあいい。これ俺のQRコード」


スマホを取り出して、差し出してきた水無瀬。


「……」


無言でコードを読み込んだ私。水無瀬は顔だけはいい。

女子の人気の的でもあったころがあったが……今は不人気だし、連絡先の交換ぐらいいいだろう。


「よろしくな」

「……うん、よろしく」


にっと微笑んだ水無瀬。その嘘偽りのない笑みに、少しだけ救われたような気がした。