朝から、非常に体調が悪かった。

どうやら縢雨ちゃんもそうみたいで、今日は学校を休むことになった。

折角、誕生日なのに。


慧と紅が心配をして駆けつけてきてくれた。

だけど、ふたりと目を合わせた瞬間───



ドクン



心臓が大きく跳ねて、私は縢雨ちゃんと倒れ込む。


「? 縢ちゃん、氷ちゃん?」


しゃがみこんだ紅が縢雨ちゃんの肩に触れると、縢雨ちゃんは苦しそうに私の手をぎゅっと握った。


私は、縢雨ちゃんの手をぎゅっと握り返す。


「……? おい、紅」


慧の声に顔をあげると、紅が放心状態で固まっていた。


「へぇ………。あれは、俺達だったってこと………?」


不意になにかを呟いた紅は縢雨ちゃんを強く引き寄せる。


「知ってるかもしれないけどさ、俺は氷ちゃんのことが好きだよ」


紅の突然の告白に、今度は私が固まった。


「でもさ、………俺のお嫁さんは縢ちゃんみたい」


うっすらと、寂しそうに微笑んで、紅は慧を見る。


「よかったね、兄さん。兄さんは氷ちゃんと結ばれるね。嬉しいね」


その口調はどこか皮肉っぽくて、そして、ものすごく悲しそうだった。


「は? どういうことだ、紅」

「つまり、俺達が天上人なんだよ。だから俺達はずば抜けた能力を持っていたし、彼女らのそばに居続けることができた」

「だって、でも…………」


紅の言葉で、嫌でも理解した。

慧の瞳が絶望に染まる。


「じゃあ、俺の氷雨への愛は作り物だったってこと……?」

「……慧」

「なんで、だって、俺は氷雨を……愛してる」