「また、氷雨ちゃんはそうやってつれない答え方する。自分がほしいものとかないの?」


縢雨ちゃんがぷくっと頬を膨らませた。


「………氷ちゃんは欲がないね。本当に、なんでもいいんだよ」

「じゃあ、紅が選んでください。なんでもいいので」


毎年聞くなぁ、と微笑みながら紅は慧に向き直った。


「慧兄が選んであげなよ。縢ちゃんのは選ぶよ」

「俺からそれぞれにあげるつもりだったんだけど」

「そっか。慧兄は優しいね。じゃあ僕もそうする」


紅がふっ、と微笑む。

その笑みは思わず息をもらすほど美しかった。



この時、私達4人のうち、誰一人として知らなかった。

まさか、私達の誕生日が4人の人生の転機となるなんて。


だから、今日も日常を謳歌する。