玉ねぎが炒め終わったらお肉を入れて、次にジャガイモとニンジンを加えてさらに炒めていく。

「…ジャガイモ大きくない?」

木べらで炒める折原さんが手を止めた。

「あ、ごめん!大きかった!?」

皮剥くのが遅くなっちゃったから少しでも時短しようと思ったのが裏目に出ちゃった、ゴロゴロとしたジャガイモになってしまった。

「でも大きいのもおいしいよね、食べ応えあって」

「煮込むのに時間かかるよ」

しなのちゃんのフォローも虚しくスパッと返って来た。

「…すみません」

謝ってみたけど、キリッとした眉を一切動かすことなくまた手を動かし始めた。バスの中でジャガイモのサイズ検索しとけばよかったかな。

「藍ん家は野菜小さい派?」

「うん、全部細かくなってる」

「ぽいよね」

「ぽいって何」

しなのちゃんが鍋の用意を始めた。水を入れ火にかけて…、私も何かしなきゃと思って使い終わった包丁やまな板を洗うことにした。

「藍って全部細かいもん」

「細かくて悪かったね!?」

「褒めてるんだよ、藍がやってくれると丁寧でありがたいよ」

しなのちゃんと折原さんが目を合わせた。

しなのちゃんが笑えば、折原さんも笑って。 

私はそんな2人を前にジャージャーと流れる水道の水で泡を流してた。