そのため私は、主人の物は主人の物、私の物は私の物、そういうスタンスで夫婦生活を送り続けた。
こうも長続きしたのは、苺大福のお陰なのかもしれない。夫婦とは、互いが常に向かい合って過ごすものでは無く、前を向いて歩き続ける際にふと隣にいる、そんな関係では無いだろうか。
しかし、時が経つにつれ、私たちの趣向は不思議と似てきた。
ふとした瞬間に思うこと、見るもの、嫌いな物、好きな物……。出会った当時、あれだけ異なっていた物たちが、重なり合うようになっていた。
今では、私の大好物こそ苺大福である。それに気がついてから、私の考えは変わっていった。
主人の領域を知ってはならない、という持論を覆す時が来たのではないだろうか。
ここまで似てきた私たちだ。
もしかしたら日記上では、いや、日記上だけでは、私たちが夫婦だったことを覚えているかもしれない。
今こそ、日記に目を通しても良い。
その時が来たのかもしれない。