「え……六花?」


気がつくと私は、ペンを手に取っていた。

そして震える手で、入部届に自分の名前と男子バスケットボール部という部活動名を書き込んだ。


「智恵理、私……男子バスケットボール部のマネージャーになるよ」


そう言った私の声も震えていた。

未来を変えるなんて、夢みたいな話だ。

バカバカしいことだと笑われても文句は言えない。

だけど不思議と、今の私に迷いはなかった。

そんな私を見る智恵理はとても驚いた顔をしていて、それは一度目のときには見られなかったものだった。