「ねぇ、六花。絶対に男バスのマネージャーになって、うちらが真剣だってこと、優吾くんにわからせてやろうね!」

「あ……う、うん。そうだね」

「優吾くんのうちらに対する認識、絶対に変えてやるんだから!」


高槻くんの――認識を変える?

続けられた智恵理の言葉を聞いた私は、一瞬、電池切れの時計のように固まった。

ある推測が、脳裏をよぎったのだ。

高槻くんの認識を変える――…高槻くんを、変える。

もしかして高校生活二周目の私なら、〝高槻くんが自死する未来を変える〟ことができるのではないだろうか。


「って、未来なんて変えられるのかな?」

「六花、どうしたの?」

「えっ。あ……う、ううん。なんでもない」


慌てて首を横に振って誤魔化した私は、恐る恐る入部届に目を向けた。

タイムスリップして未来を変えるなんて、冗談みたいな話だ。

それでも、私の心臓はかすかな希望を抱いて高鳴り始めた。

初恋の人を、救えるかもしれない。

もしも私に、そのチャンスが与えられたのだとしたら――?