――初恋の人が死んだ。

その訃報(ふほう)は、瞬く間に拡散された。

私は今日、彼の通夜に参列するため、約一年半ぶりに帰省する。

でも、いまだに現実を受け止められない。

だって信じられない、信じたくない。

憧れの的だった彼が〝自殺〟したなんて……。

信じられるはずがないんだ。


『もしも……ひとつだけ願いを叶えられるとしたら、どうする?』


世界が混乱していたあの日、きみに問われた言葉を思い出す。

あの日の私は弱虫な臆病者で、答えることができなかったけれど。

今なら、間違いなくこう言うよ。


「もう一度、きみに会いたい」