「もう一度、高槻くんに会いたい」
震える声でつぶやいたあと、私は膝をバネにして、ボールを高く――高く、放った。
すると、私の手を離れたボールは美しい弧を描いてゴールリングに吸い込まれた。
「う、嘘……。入った……?」
見事なスウィッシュだった。
シュートが入ったあと体育館の床に落ちて弾むボールの音が、私の鼓動とシンクロしているみたいに大げさに鳴っていた。
「…………」
そのボールの音が止むまで、私は呆然と立ち尽くしたまま動けなかった。
我に返ったときには、ボールはまた体育館の隅に転がっていて、目の前にはここに来たときと同じ景色が広がっていた。