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「頭いてぇ」
学校が終わり、帰宅した頃には少年は疲れ果てていた。聴きたくない他人の「声」を無差別に取り込んでしまっているのだから当たり前だ。
「ただいま……」
「ああ、おかえりー」
母親の声が聞こえて、少年は顔を顰める。
「今日も遅かったね。夕飯は……」
「いらねえ」
「えぇ、でも……」
「いらねぇって言ってるから」
少年は母親には目も向けず、自室に走った。
『母親の優しさも受け取らないなんて、親不孝
な子に育ったものね。こんな子になるなら、別に……』
母親の近くを通った時に聞いた言葉は、幻聴だったと祈るしかない。母親の「声」が一番聴きたくなかったのに。