ーーーー ここは雨の降る国。5年前からそう呼ばれるようになった。
昼夜問わず、春夏秋冬問わず、ずっと降り続ける雨。
大きな堀を作って、貯水池へと流す。そうやって何とか国の形を保ってきた。
それでも作物は育ず、寒さに震え、貧しく寂れた装いをした国。
国王は、そんな情勢に頭を抱えていた。
「アルベルト国王! このままでは、永らく栄えたこの国が、あなたの代で滅びてしまいます!」
アルベルト国王の前で膝をつき、民の総意を伝えるは、老中のバルダンだった。
嗄れ声でも、力強く、意思のこもったその発言は、国王の脳を更に痛めつける。
「分かっておる。分かっておるのだが…………」
「いや、国王はわかっておりませぬ! この国の一大事ですぞ! このままで良いとは申せません!」
「だから、策を考えているのだろ?」
「はい! 5年。5年もの間、考え通しでございます! それでも尚、答えは出てはおりません! 国王、ここが、ご決断の時かと…………」
そのバルダンの言葉に、眉をひそめた国王は、強く押さえつけるように、バルダンを睨みつけた。
「馬鹿を言うではない!! 私に娘を殺せと申すのか!!」
国王は両の肘掛けに拳を叩きつけた。
「ですが! そうするしか、道はないかと。5年前、憎き魔女を滅ぼすと同時に、ユリシア王女にかけられた呪い。この雨は、ユリシア王女にかけられた、命続く限り降り止む呪いなのですぞ!」
遡ること5年前。世界を手中に治めようと企む魔女、グロースが討伐された。
グロースは死に際に、国王の娘であるユリシアに、ユリシアの命尽きるまで、この国に雨をもたらす呪いをかけた。
「それでも。私には、ユリシアを殺すことなど…………」
「国王。何も国王が手を下すことはございませぬ。ここは私と、私の部下にお任せを。それで、よろしいですね?」
バルダンの圧と、正論に言葉を返す事のできない国王は、小さく頷く事で、その討論に終止符を打った。
昼夜問わず、春夏秋冬問わず、ずっと降り続ける雨。
大きな堀を作って、貯水池へと流す。そうやって何とか国の形を保ってきた。
それでも作物は育ず、寒さに震え、貧しく寂れた装いをした国。
国王は、そんな情勢に頭を抱えていた。
「アルベルト国王! このままでは、永らく栄えたこの国が、あなたの代で滅びてしまいます!」
アルベルト国王の前で膝をつき、民の総意を伝えるは、老中のバルダンだった。
嗄れ声でも、力強く、意思のこもったその発言は、国王の脳を更に痛めつける。
「分かっておる。分かっておるのだが…………」
「いや、国王はわかっておりませぬ! この国の一大事ですぞ! このままで良いとは申せません!」
「だから、策を考えているのだろ?」
「はい! 5年。5年もの間、考え通しでございます! それでも尚、答えは出てはおりません! 国王、ここが、ご決断の時かと…………」
そのバルダンの言葉に、眉をひそめた国王は、強く押さえつけるように、バルダンを睨みつけた。
「馬鹿を言うではない!! 私に娘を殺せと申すのか!!」
国王は両の肘掛けに拳を叩きつけた。
「ですが! そうするしか、道はないかと。5年前、憎き魔女を滅ぼすと同時に、ユリシア王女にかけられた呪い。この雨は、ユリシア王女にかけられた、命続く限り降り止む呪いなのですぞ!」
遡ること5年前。世界を手中に治めようと企む魔女、グロースが討伐された。
グロースは死に際に、国王の娘であるユリシアに、ユリシアの命尽きるまで、この国に雨をもたらす呪いをかけた。
「それでも。私には、ユリシアを殺すことなど…………」
「国王。何も国王が手を下すことはございませぬ。ここは私と、私の部下にお任せを。それで、よろしいですね?」
バルダンの圧と、正論に言葉を返す事のできない国王は、小さく頷く事で、その討論に終止符を打った。