吉祥宮司(ぐうじ)に案内されて、まなびの社へ入った。


神楽殿に宝物殿、授与所に社務所、会館まである。建物数は多いけれど敷地がそんなに広くないようだ。

御祭神の愛志鳴菊良比売(まなしなのくくらひめ)を御祭りする本殿の他に五つの社殿があり、愛志鳴菊良比売にゆかりのある御祭神が祀られているらしい。

敷地を守るように広がる鎮守の森は松の木の森だ。すっと鼻を通す爽やかな深い木の匂いが社頭中に広がっている。


鳥居と同じ朱塗りの柱に白壁の本殿の前にみんなで並んで手を合わせる。

本来は本殿前へと続く参道にいるはずの狛犬が本殿の軒下に鎮座していて、雨宿りをしているみたいでとても可愛らしい。

二匹の狛犬と御祭神さまにしばらくお世話になりますと頭を下げる。



「ほな社務所で神職の紹介しよか。そんなに人数おらへんのやけど」

「神職さまは何人いらっしゃるんですか?」



嘉正くんがそう尋ねる。



「権宮司が一人に禰宜が一人、本巫女が三人。職員が一人、これは僕の妻で元本巫女やから色々教えてもらうとええよ」



この規模の社にしては神職が少ない。少数精鋭なのだろうか。

こっちや、と案内された二階建ての社務所にぞろぞろと足を踏み入れた。