「呪い」と一括りに呼んではいるものの、その種類は多岐にわたる。日本にも古来より様々な「呪い」と呼ばれる現象が存在し、今も尚語り継がれている。

神職のような特別な力を持つものは、自分のその力によって呪いを生じさせる。その方がより強い呪いを生み出すことができるからだ。しかしそのような力がない人にも呪いを発生させることは意外と簡単に出来たりする。

呪いの本質は負の感情、負の感情さえあれば呪いは何処にでも生まれる。

過去の事例を紐解くと、その呪いの多くは「物」を媒介にして生み出されてきた。

亥の刻参りの藁人形何かがそのいい例だ。藁人形を呪いたい相手に見立てて五寸釘を打ち込むことで呪いが完成する。他にも蝋燭や瓶、紙に紐など、私たちの生活に根付くものほど強い呪いを引き起こす媒介になったりするらしい。

何かを介すことで威力は弱まってしまうのだけれど、負の感情を物に集めることで力のない人間でも呪いを操ることができるようになる────らしい。


らしい、というのも呪いについて専門的に学ぶのは2年生からなのでフワッとした知識しかないのだ。

二学期から「呪法基礎学」の授業が始まったけれど、まだ呪いとは何たるかをざっくりと習った程度の知識しかない。