お昼ご飯を食べたあとは、私と嘉正くんが授与所の当番だった。
参道脇の長方形の建物に裏から入ると、千江さんが品出しをしている所だった。
入ってきた私たちに気が付いて顔を上げる。
「あらもうお昼休憩終わり? ご飯ちゃんと残さず食べた?」
「はい、ご馳走様でした。美味しかったです」
嘉正くんに続けてご馳走様でしたと私も頭を下げる。
さよかと目を弓なりにした千江さんは「ほんなら」と一言置くと奥から積み重なった木箱を持ってくると私たちの前にどんと置いた。
私と嘉正くんは苦笑いを浮べる。
「ほんなら今日も、豆の袋詰めよろしくなぁ」
はい、と返事はしたものの溜息をつきたくなるくらい気が重い作業だ。
私たちは席に座って渋々木箱に手を伸ばした。
あと一週間ほどで行われる二月頭の恒例神事、節分祭で使用される福豆だ。節分祭当日に、小分けに袋詰めされた福豆を参拝客に配るらしい。
その福豆の袋詰め作業を、実習が始まった初日から毎日頼まれている。
決められた数の豆と乾燥剤を袋に詰めて口をホッチキスで止めてからテープで封をするだけなのだけれどこれが意外と面倒で、さらに同じ作業の繰り返しだから昼食後はすごく眠くなる。