「皆メリハリがあっていいわね。それで、残念なお知らせだけど、生徒の中に吸血鬼に襲われて入院することになった子がいるの。皆、吸血鬼には気をつけなさいね」
その言葉に辺りに緊張感が漂った。
やっぱり吸血鬼は危険だよ。
理乃ちゃん達みたいにはどうしても思えない。
「じゃあ、お知らせは以上よ。各自、休み時間に入って」
それだけ言うと、先生は出ていき、休み時間に入った。
*
バイトが終わり、店から出ると、もう暗くなっていた。
明君と光莉ちゃんが待ってるし、なるべく早く帰らないと……
「月ちゃん、今日車で送ってくよ?」
そう思っていたところで、バイト先の先輩からのありがたい申し出。
でも、申し訳ないし断らないと……
「わざわざ送っていただかなくても大丈夫ですよ」
「でも、月ちゃん。今日は満月だよ?ほんとに大丈夫?」
「はい、大丈夫です」
「分かった。月ちゃん、気をつけて帰るんだよ?」
「はい。先輩もお気を付けて」
先輩と分かれた後、空を見上げた。
先輩の言った通り、大きな満月が空に浮かんでいた。