だからかな……?


この吸血鬼さんは怖くない。


「いいです、よ。私の血でいいなら、あげます」


気づいたら、了承していた。


「いいの?」


「はい」


凄く真剣な顔で確認され、頷いた。


私の覚悟はもう決まってる。


「変わってるね、君。普通吸血鬼だと分かったら、怖がるのに」


吸血鬼のことは私も怖いって思ってたし、今も怖いことに変わりはない。


目の前にいる吸血鬼さんだから、怖くないんだ。


「血、くれるんでしょ?外だと無理だし、君の家に連れていってくれる?」


「あ、はい。分かりました。家は近いので、案内します」


家はすぐそこ。


1分も経たずに家に着いた。


「柚木……」


吸血鬼さんは表札に目を向けたのか、私の名字を呟いた。


柚木という名字に思い入れでもあるのかな……?


なんて思いながら、鍵を開けて家の中に入った。


「おねえちゃん!」


「おかえりなさい!」


すると、玄関にはいつもなら寝ているはずの明君と光莉ちゃんがいて、出迎えてくれた。


「ただいま、遅くなってごめんね。いい子にしてた?」


「「うん、してたよ!」」