一ヵ月後。
「白さま〜」
静かだった恭稲探偵事務所に、白姫の声が響く。
「騒がしいですよ。白様はお仕事中なのですから、少しは配慮なさい」
「はーい」
白姫は父の言葉などさして気にする様子もなく、左手に聖花の手首を握ったまま、白の正面に立つ。
自身を横切ってゆく娘に連れられる聖花の姿を見た智白は、ぎょっとする。
「白様〜。見て見て~」
「嗚呼。整ったか」
白はデジタルデーターから視線を上げ、二人を見る。刹那、小さく目を開いた。そして、呆れ果てる。
「お前たちはふざけているのか?」
「ふざけていないもん。すっごく苦労したんだから」
「いったいどこに苦労かけたと言う。私は、目立たないようにしろと言ったのだが」
「斬新でオシャレじゃない」
一人ノリノリの白姫に対し、聖花は苦笑いを浮かべる。
本格的に外に出る日々や、探偵事務所の手伝いをするにあたり、本来の聖花の姿では危険だ。過去の聖花の姿を知るものが見たら面倒なことになる。
それに聖花の瞳は目立ちすぎてしまう。その瞳の意味を知るモノ達は、聖花がそうであるとすぐに分かってしまう。それでは、危険を及ぼす。
少しでも危険を回避するため、姿を目立たぬものに変化させたほうがいいと、白は助言したのだ。
それを楽しんだのは白姫だった。どんな髪型にするのか、どんな髪色にするのか、どんな服装にするのか、それはそれは楽しんだ。楽しみすぎて、斜め上を行ってしまったのだ。
その結果、今の聖花の姿は、ボブショートカットのインディゴ色をした髪色のウィッグ、アクアマリンを彷彿とさせる瞳。それに合わせるように、眉色をシティロースト色に変化させていた。
ミニスカートのスーツ。左太腿には白から与えられた銃が差し込まれたホルスターがつけられている。第二ボタンまで開いた白いワイシャツから見えるデコルテには、例のネックレスが輝いている。
その姿はまるで、コスプレイヤーのような仕上がりだった。
「まさか! 白様を驚かせたかっただけよ。最近の白様は、昔のように笑ってくれないから」
「人も妖もずっと同じと限らない。一秒ごとに変化する生きモノだからな。よく昔の私を引き合いに出してくるが……今の私では満足出来ないのか?」
白はその綺麗な指先を伸ばし、故意に爪を細長い刃先のように伸ばして、白姫の顎先にそっと当てた。
「ッ⁉︎」
「!」
白姫は息を飲み込み、聖花は目を見開く。
「ま、満足とか満足してないとか、そういうんじゃない。私はただ、白様に笑っていて欲しいだけ。また里の皆と仲良くしたい。本当は里に戻って来て欲しい。昔みたいに、パパや白樹や白様や白雨と一緒に遊びたい。純血だとか半妖狐だとか、長《おさ》の――ッ」
「白姫!」
今までの想いを外にだす娘を、智白が静止する。
「白姫! 口が過ぎますよ」
「何さ二人して! 私はただ、皆と笑い合って、平和に生きて行きたいだけなのに! 私で役に立つことがあるならなんでもする。その為に技術も磨いてきた。だから、早く里に――ッ」
「悪いが、まだ時が満ちていない」
もうそれ以上は言うな、とばかりに、白はその爪を白姫の唇にそっと当て、続く言葉を静止した。
「っ」
白姫は涙ぐみながら、自室に逃げ込んでしまう。
取り残された聖花は、どうしたらいいのか分からず、その場で固まることしか出来なかった。
「何か、言いたそうだな」
白は必然的な上目遣いで聖花を見る。立っているのは聖花の方だが、まるで見下ろされている感覚に陥る聖花だった。
「き、聞いたら、答えてくれるんですか?」
「内容によりけりだな」
「恭稲さんは、どうして自分の世界ではなく、ここにいるんですか? どうして、探偵事務所をしているんですか? なぜ白姫のいう里というもので、暮らしていないんですか?」
「質問が多いな」
白は苦笑いを浮かべる。
「す、すみません」
聖花は今までの疑問を投げかけ過ぎてしまったと反省する。
「一度口から出た言葉はもう二度と元には戻らない。言葉に、自分の選択に責任を持て」
「……はい」
聖花はしょぼくれた姿勢をピンと戻す。
「全ての質問に間接的に答えるのならば、私は私が決めたことを真っ当するまで、里に戻り暮らすつもりはない。何故、探偵事務所をしているかについてだが、色々便利だからだ。特別詳しい事情はない」
「そう、ですか……」
「時に碧海聖花」
「はい。なんでしょうか?」
改めて名前を呼ばれ、聖花の身体に緊張が走る。
「本気でその姿で生きていくつもりなのか」
「……ぁ! いえ」
聖花の反応が遅れたのは、自身の今の姿を忘れていたからだろう。
「ならば、さっさとどうにかすることだな。白姫の着せ替え人形になるのではなく、自分の姿は自分で選べ。自分が生きていく姿だ」
「はい。失礼しました」
聖花は一度会釈をして、半ば逃げるように自室へ戻っていった。
「先程は、白姫が失礼いたしました」
聖花が自室へと戻ったことを確認した智白は、すぐに娘の無礼に頭を下げた。
「いや、構わない。里や里のモノ達を捨てたように過ごしているのは事実。里のモノ達からは、私への信頼は日々薄まっていっていることだろう」
「そんなことは……ッ」
「無いと言えるか?」
「――」
「いいんだ。むしろ、私への信頼など失ってしまったほうが、後の未来のため」
「また、何を考えておいでですか? ここで暮らし続けているのは、他にも考えがおありなんですか?」
「かも、知れぬな」
白は妖美な微笑を口端に浮かべると、成すべきことを終えるための作業に戻った。
智白はそれ以上深く推し量ることも、問いただすこともなかった。
†
「白姫大丈夫?」
聖花は自身のベッドで突っ伏していた白姫を労わり寄り添うように、そっと白姫のベッドに腰掛けた。
「うん。取り乱してごめん」
上半身を起こし、ベッドの上で女の子座りをして答える白姫の瞳は赤い。
「ううん」
「白様は昔からあーじゃなかったのよ」
「どういうこと?」
今の白しか知らない聖花は首を傾げる。
「もっと笑顔を見せてくれていたし、里の皆を大切にしていたし、良く遊んでくれていた。だけどある日、里から姿を消したのよ。その理由は検討がついているけど、あくまで私の予想だし、あまり話すと怒られるから言えない。ごめんなさい」
「うん。大丈夫。話せる所だけでええよ」
聖花は白姫を受け止めるように、優しく微笑む。
元より無理強いも、パーソナルスペースに土足で踏み込んでゆくことをしない聖花だ。そこは弁えている。
「ありがとう。白様が里から姿を消してすぐ、パパが白様を捜索してたの。見つけるのに苦労したみたい。いや、見つけるのに苦労したと言うより、説得するのに苦労したとも言えそう。二人は一年後に里に戻って来たけれど、白様は天狐になれるようになってすぐ、また里から姿を消した。パパと共にね。
それから半年後に、力を貸して欲しいと要請があって、恭稲探偵事務所の存在と、白様が何をしているのかを知ったの。白樹も同様よ。私も白樹も白様が大好きだし、恩人だから力になりたくて、恭稲事務所に居座ることにした。と言っても、白樹は元々、人間界のボロアパートで住んでいるのだけれど」
白姫は首を竦める。
「白樹さんは、なんでココや里に住んではらへんの? ぁ、答えられるならでええよ」
「住めないのよ」
「?」
聖花は意味が分からず、小首を傾げることしか出来ない。
「ここには強力な結界が貼られていて、人間達や妖狐達からはバレにくくなっているけれど、いつ侵入されるか分からない。白樹がその場にいては標的にされてしまう。里にいても同じこと。だから半妖狐達は危険が及ばぬように、人間に紛れて人間界で暮らす事がほとんどなのよ。人間界には色々な匂いに溢れているから、私たちの匂いも紛れやすい。と言っても、年齢や能力の高さによって、その匂いの強さは違うのだけれど」
「……だから、恭稲さんは香水を?」
聖花は白から漂う香りを、鼻腔に思い起させながら言った。
「さぁ。それは分からない。けど誘惑力の高い香りよね。もし白様が人間界で人間をしていたら、変な虫がいっぱい寄ってきて、追い払うのに手を焼きそうだわ」
「……変な虫も強者そうやね。ほとんどの人が遠巻きで見るしか出来なさそうかも」
聖花は人間界で生きる白の姿を思い浮かべ、苦笑いする。
「ふふふ。言われて見ると。白様は色々とレベルが高すぎるもの。逆ナンしようとか、話しかけようだなんて人がいたら、逆に拝んでみたいわ」
「ふふっ」
「ありがとう聖花。なんだか元気出た」
白姫は顔の前で両拳を作り、ニコリと可愛らしい笑みを見せる。
「どういたしまして。って何もしてないけど」
「ううん。こうして寄り添って、お話ししてくれることが凄くありがたくて嬉しい。今だって、二人共放置よ! 手厳しすぎるでしょ」
白姫はご立腹なのか、胸の前で腕を組み、左頬を膨らませる。
「二人は……いつも手厳しい。せやけど、二人の優しさは常に感じてる。それは全面的に外へ出る甘い優しさでも、凄くわかりやすい優しさでもあらへんけど」
「そうね、私もそう思う」
二人は気が合うねとばかりに、微笑み合った。
その後、聖花は二ヶ月間の間、白姫と共に基礎体力と体のバネを効率よく使うための柔軟性を鍛えながら、智白や、智白の作る傀儡相手に、空手や刀を混じり合わせ、射撃の腕を磨き続けるのだった。
「白さま〜」
静かだった恭稲探偵事務所に、白姫の声が響く。
「騒がしいですよ。白様はお仕事中なのですから、少しは配慮なさい」
「はーい」
白姫は父の言葉などさして気にする様子もなく、左手に聖花の手首を握ったまま、白の正面に立つ。
自身を横切ってゆく娘に連れられる聖花の姿を見た智白は、ぎょっとする。
「白様〜。見て見て~」
「嗚呼。整ったか」
白はデジタルデーターから視線を上げ、二人を見る。刹那、小さく目を開いた。そして、呆れ果てる。
「お前たちはふざけているのか?」
「ふざけていないもん。すっごく苦労したんだから」
「いったいどこに苦労かけたと言う。私は、目立たないようにしろと言ったのだが」
「斬新でオシャレじゃない」
一人ノリノリの白姫に対し、聖花は苦笑いを浮かべる。
本格的に外に出る日々や、探偵事務所の手伝いをするにあたり、本来の聖花の姿では危険だ。過去の聖花の姿を知るものが見たら面倒なことになる。
それに聖花の瞳は目立ちすぎてしまう。その瞳の意味を知るモノ達は、聖花がそうであるとすぐに分かってしまう。それでは、危険を及ぼす。
少しでも危険を回避するため、姿を目立たぬものに変化させたほうがいいと、白は助言したのだ。
それを楽しんだのは白姫だった。どんな髪型にするのか、どんな髪色にするのか、どんな服装にするのか、それはそれは楽しんだ。楽しみすぎて、斜め上を行ってしまったのだ。
その結果、今の聖花の姿は、ボブショートカットのインディゴ色をした髪色のウィッグ、アクアマリンを彷彿とさせる瞳。それに合わせるように、眉色をシティロースト色に変化させていた。
ミニスカートのスーツ。左太腿には白から与えられた銃が差し込まれたホルスターがつけられている。第二ボタンまで開いた白いワイシャツから見えるデコルテには、例のネックレスが輝いている。
その姿はまるで、コスプレイヤーのような仕上がりだった。
「まさか! 白様を驚かせたかっただけよ。最近の白様は、昔のように笑ってくれないから」
「人も妖もずっと同じと限らない。一秒ごとに変化する生きモノだからな。よく昔の私を引き合いに出してくるが……今の私では満足出来ないのか?」
白はその綺麗な指先を伸ばし、故意に爪を細長い刃先のように伸ばして、白姫の顎先にそっと当てた。
「ッ⁉︎」
「!」
白姫は息を飲み込み、聖花は目を見開く。
「ま、満足とか満足してないとか、そういうんじゃない。私はただ、白様に笑っていて欲しいだけ。また里の皆と仲良くしたい。本当は里に戻って来て欲しい。昔みたいに、パパや白樹や白様や白雨と一緒に遊びたい。純血だとか半妖狐だとか、長《おさ》の――ッ」
「白姫!」
今までの想いを外にだす娘を、智白が静止する。
「白姫! 口が過ぎますよ」
「何さ二人して! 私はただ、皆と笑い合って、平和に生きて行きたいだけなのに! 私で役に立つことがあるならなんでもする。その為に技術も磨いてきた。だから、早く里に――ッ」
「悪いが、まだ時が満ちていない」
もうそれ以上は言うな、とばかりに、白はその爪を白姫の唇にそっと当て、続く言葉を静止した。
「っ」
白姫は涙ぐみながら、自室に逃げ込んでしまう。
取り残された聖花は、どうしたらいいのか分からず、その場で固まることしか出来なかった。
「何か、言いたそうだな」
白は必然的な上目遣いで聖花を見る。立っているのは聖花の方だが、まるで見下ろされている感覚に陥る聖花だった。
「き、聞いたら、答えてくれるんですか?」
「内容によりけりだな」
「恭稲さんは、どうして自分の世界ではなく、ここにいるんですか? どうして、探偵事務所をしているんですか? なぜ白姫のいう里というもので、暮らしていないんですか?」
「質問が多いな」
白は苦笑いを浮かべる。
「す、すみません」
聖花は今までの疑問を投げかけ過ぎてしまったと反省する。
「一度口から出た言葉はもう二度と元には戻らない。言葉に、自分の選択に責任を持て」
「……はい」
聖花はしょぼくれた姿勢をピンと戻す。
「全ての質問に間接的に答えるのならば、私は私が決めたことを真っ当するまで、里に戻り暮らすつもりはない。何故、探偵事務所をしているかについてだが、色々便利だからだ。特別詳しい事情はない」
「そう、ですか……」
「時に碧海聖花」
「はい。なんでしょうか?」
改めて名前を呼ばれ、聖花の身体に緊張が走る。
「本気でその姿で生きていくつもりなのか」
「……ぁ! いえ」
聖花の反応が遅れたのは、自身の今の姿を忘れていたからだろう。
「ならば、さっさとどうにかすることだな。白姫の着せ替え人形になるのではなく、自分の姿は自分で選べ。自分が生きていく姿だ」
「はい。失礼しました」
聖花は一度会釈をして、半ば逃げるように自室へ戻っていった。
「先程は、白姫が失礼いたしました」
聖花が自室へと戻ったことを確認した智白は、すぐに娘の無礼に頭を下げた。
「いや、構わない。里や里のモノ達を捨てたように過ごしているのは事実。里のモノ達からは、私への信頼は日々薄まっていっていることだろう」
「そんなことは……ッ」
「無いと言えるか?」
「――」
「いいんだ。むしろ、私への信頼など失ってしまったほうが、後の未来のため」
「また、何を考えておいでですか? ここで暮らし続けているのは、他にも考えがおありなんですか?」
「かも、知れぬな」
白は妖美な微笑を口端に浮かべると、成すべきことを終えるための作業に戻った。
智白はそれ以上深く推し量ることも、問いただすこともなかった。
†
「白姫大丈夫?」
聖花は自身のベッドで突っ伏していた白姫を労わり寄り添うように、そっと白姫のベッドに腰掛けた。
「うん。取り乱してごめん」
上半身を起こし、ベッドの上で女の子座りをして答える白姫の瞳は赤い。
「ううん」
「白様は昔からあーじゃなかったのよ」
「どういうこと?」
今の白しか知らない聖花は首を傾げる。
「もっと笑顔を見せてくれていたし、里の皆を大切にしていたし、良く遊んでくれていた。だけどある日、里から姿を消したのよ。その理由は検討がついているけど、あくまで私の予想だし、あまり話すと怒られるから言えない。ごめんなさい」
「うん。大丈夫。話せる所だけでええよ」
聖花は白姫を受け止めるように、優しく微笑む。
元より無理強いも、パーソナルスペースに土足で踏み込んでゆくことをしない聖花だ。そこは弁えている。
「ありがとう。白様が里から姿を消してすぐ、パパが白様を捜索してたの。見つけるのに苦労したみたい。いや、見つけるのに苦労したと言うより、説得するのに苦労したとも言えそう。二人は一年後に里に戻って来たけれど、白様は天狐になれるようになってすぐ、また里から姿を消した。パパと共にね。
それから半年後に、力を貸して欲しいと要請があって、恭稲探偵事務所の存在と、白様が何をしているのかを知ったの。白樹も同様よ。私も白樹も白様が大好きだし、恩人だから力になりたくて、恭稲事務所に居座ることにした。と言っても、白樹は元々、人間界のボロアパートで住んでいるのだけれど」
白姫は首を竦める。
「白樹さんは、なんでココや里に住んではらへんの? ぁ、答えられるならでええよ」
「住めないのよ」
「?」
聖花は意味が分からず、小首を傾げることしか出来ない。
「ここには強力な結界が貼られていて、人間達や妖狐達からはバレにくくなっているけれど、いつ侵入されるか分からない。白樹がその場にいては標的にされてしまう。里にいても同じこと。だから半妖狐達は危険が及ばぬように、人間に紛れて人間界で暮らす事がほとんどなのよ。人間界には色々な匂いに溢れているから、私たちの匂いも紛れやすい。と言っても、年齢や能力の高さによって、その匂いの強さは違うのだけれど」
「……だから、恭稲さんは香水を?」
聖花は白から漂う香りを、鼻腔に思い起させながら言った。
「さぁ。それは分からない。けど誘惑力の高い香りよね。もし白様が人間界で人間をしていたら、変な虫がいっぱい寄ってきて、追い払うのに手を焼きそうだわ」
「……変な虫も強者そうやね。ほとんどの人が遠巻きで見るしか出来なさそうかも」
聖花は人間界で生きる白の姿を思い浮かべ、苦笑いする。
「ふふふ。言われて見ると。白様は色々とレベルが高すぎるもの。逆ナンしようとか、話しかけようだなんて人がいたら、逆に拝んでみたいわ」
「ふふっ」
「ありがとう聖花。なんだか元気出た」
白姫は顔の前で両拳を作り、ニコリと可愛らしい笑みを見せる。
「どういたしまして。って何もしてないけど」
「ううん。こうして寄り添って、お話ししてくれることが凄くありがたくて嬉しい。今だって、二人共放置よ! 手厳しすぎるでしょ」
白姫はご立腹なのか、胸の前で腕を組み、左頬を膨らませる。
「二人は……いつも手厳しい。せやけど、二人の優しさは常に感じてる。それは全面的に外へ出る甘い優しさでも、凄くわかりやすい優しさでもあらへんけど」
「そうね、私もそう思う」
二人は気が合うねとばかりに、微笑み合った。
その後、聖花は二ヶ月間の間、白姫と共に基礎体力と体のバネを効率よく使うための柔軟性を鍛えながら、智白や、智白の作る傀儡相手に、空手や刀を混じり合わせ、射撃の腕を磨き続けるのだった。