つまり、衣装が肩の辺りから裂け、肌があらわになりかけているのだ。
(あぁ、なんてこと!)
丸裸になってしまうわけではないが、良家の子女としては一生の恥となる大ピンチだ。かといって、舞をやめて舞台袖にはけるのも妃嬪候補としては避けたいところ。桃花自身はあまり皇后の地位に執着しているようには思えないが、彼女たちは家名を背負っている。
衣装を押さえながら、どうにか舞う。そんな苦肉の策を彼女は選択した。だが、健気な桃花をあざ笑うかのように彼女の衣装のほころびは広がっているように見えた。
さすがに誰もが状況を察したのだろう。場がざわつき出し、同情の嘆息があちこちから聞こえてきた。
今にも衣がはだけてしまうというところで、バッと舞台に飛び乗った焔幽が音楽に合わせて自身の衣をふわりとかけた。
儚い姫君を守り支える美貌の王。文句なしに絵になっている。
最後の一音とホッとしたような桃花の愛らしい笑みがうまい具合に重なり、まるで初めから決まっていた演出のように見えた。
シンと一瞬静まり返ったあとで、「わぁ~」という大歓声があがった。舞台が台無しにならなかったのは桃花の度胸と焔幽の的確なフォローの賜物だ。もっとも、あの状況で舞台にあがることが許されるのは皇帝くらいのものなので彼がどうにかする以外に道はなかったともいえるが。
(あぁ、なんてこと!)
丸裸になってしまうわけではないが、良家の子女としては一生の恥となる大ピンチだ。かといって、舞をやめて舞台袖にはけるのも妃嬪候補としては避けたいところ。桃花自身はあまり皇后の地位に執着しているようには思えないが、彼女たちは家名を背負っている。
衣装を押さえながら、どうにか舞う。そんな苦肉の策を彼女は選択した。だが、健気な桃花をあざ笑うかのように彼女の衣装のほころびは広がっているように見えた。
さすがに誰もが状況を察したのだろう。場がざわつき出し、同情の嘆息があちこちから聞こえてきた。
今にも衣がはだけてしまうというところで、バッと舞台に飛び乗った焔幽が音楽に合わせて自身の衣をふわりとかけた。
儚い姫君を守り支える美貌の王。文句なしに絵になっている。
最後の一音とホッとしたような桃花の愛らしい笑みがうまい具合に重なり、まるで初めから決まっていた演出のように見えた。
シンと一瞬静まり返ったあとで、「わぁ~」という大歓声があがった。舞台が台無しにならなかったのは桃花の度胸と焔幽の的確なフォローの賜物だ。もっとも、あの状況で舞台にあがることが許されるのは皇帝くらいのものなので彼がどうにかする以外に道はなかったともいえるが。