今も、雪寧の後ろからやってきた彼女たちの眼差しを香蘭はドキドキしながら受け止めている。
「雪寧さま、待ってくださいまし」
大股で貫録たっぷりに歩いてくるのは内臓の丈夫さに定評のある鵬朱だ。続いて、詩清の姿も見える。
(詩清さんは妙に鼻がきくから迂闊なことは言えないですね)
「まぁ、蘭楊さま」
詩清は穴が開くほどまじまじと香蘭の顔を見る。
「本当に……妹君である香蘭にそっくりですねぇ」
「ははっ。幼い頃からよく言われました。両親すら間違えるほどでしたから」
内心ハラハラしていることなど、おくびにも出さずにほほ笑む。
「声もよく似ていらっしゃる」
意識して低めに、さらに宦官らしい話し方を心がけているつもりだが香蘭の声をよく聞いていた彼女の耳をごまかすのは難しいようだ。
(では、こうしましょう)
香蘭はクイと詩清の顎に指をかけて持ちあげる。詩清の頬が赤く染まったのを確認してから、いたずらっぽく目を細めた。
「実は香蘭なんです……と明かしたら、あなたはどんな反応を見せてくれるでしょうか」
さらにもう一歩、詩清に詰め寄り唇が触れそうな距離でぴたりと止まる。
きゃ~という歓声が別の女官たちからあがった。
「も、もう! おかしな冗談はやめてくださいませ」
「雪寧さま、待ってくださいまし」
大股で貫録たっぷりに歩いてくるのは内臓の丈夫さに定評のある鵬朱だ。続いて、詩清の姿も見える。
(詩清さんは妙に鼻がきくから迂闊なことは言えないですね)
「まぁ、蘭楊さま」
詩清は穴が開くほどまじまじと香蘭の顔を見る。
「本当に……妹君である香蘭にそっくりですねぇ」
「ははっ。幼い頃からよく言われました。両親すら間違えるほどでしたから」
内心ハラハラしていることなど、おくびにも出さずにほほ笑む。
「声もよく似ていらっしゃる」
意識して低めに、さらに宦官らしい話し方を心がけているつもりだが香蘭の声をよく聞いていた彼女の耳をごまかすのは難しいようだ。
(では、こうしましょう)
香蘭はクイと詩清の顎に指をかけて持ちあげる。詩清の頬が赤く染まったのを確認してから、いたずらっぽく目を細めた。
「実は香蘭なんです……と明かしたら、あなたはどんな反応を見せてくれるでしょうか」
さらにもう一歩、詩清に詰め寄り唇が触れそうな距離でぴたりと止まる。
きゃ~という歓声が別の女官たちからあがった。
「も、もう! おかしな冗談はやめてくださいませ」