彼女はさっぱり理解できないのだと言いたげに、首を横に振って嘆いてみせた。彼女には
意味がわからないようだが、香蘭はすぐにピンときた。
桃花はきっと、見目麗しい男性同士が仲良くしたり、いがみ合ったりするのを見るのが大好きなのだ。己の生の情熱すべてを、そこに注いでいるのであろう。
(さほど変わった趣味、というわけでもないですね。そういった趣味の女性は、はるか昔からずーっと存在しておりますし)
「蘭楊さまが陛下のそばにいらしてから、夏飛さまはどんなご様子ですか?」
「う~ん。私は夏飛さんには嫌われているようで、あまり親しくしてもらえないんですよ」
「や、やっぱり!」
桃花は頬を紅潮させ、そのまま自分の世界に入り込んでしまった。
「あぁ。夏飛さまのお気持ち、痛いほどにわかりますわ。それはきっと嫉妬、嫉妬の炎ですわね」
なにやら涙ぐみながら、ブツブツとつぶやいている。
(夏飛さんのお気持ちはこれっぽっちも理解されていないので、痛みはきっと気のせいでしょうね)
香蘭は心のなかで突っ込むが、妄想の世界の住人となっている彼女の耳にはなにを言っても届かないだろう。
(桃花さまの大好物は『三角関係』)
妃嬪選びの役には立ちそうにない、不要な情報をインプットしてしまった。
「あぁ、陛下と蘭楊さまと夏飛さまが三人でいらっしゃるところを、なんとしてでもこの目で見たいわ!」
意味がわからないようだが、香蘭はすぐにピンときた。
桃花はきっと、見目麗しい男性同士が仲良くしたり、いがみ合ったりするのを見るのが大好きなのだ。己の生の情熱すべてを、そこに注いでいるのであろう。
(さほど変わった趣味、というわけでもないですね。そういった趣味の女性は、はるか昔からずーっと存在しておりますし)
「蘭楊さまが陛下のそばにいらしてから、夏飛さまはどんなご様子ですか?」
「う~ん。私は夏飛さんには嫌われているようで、あまり親しくしてもらえないんですよ」
「や、やっぱり!」
桃花は頬を紅潮させ、そのまま自分の世界に入り込んでしまった。
「あぁ。夏飛さまのお気持ち、痛いほどにわかりますわ。それはきっと嫉妬、嫉妬の炎ですわね」
なにやら涙ぐみながら、ブツブツとつぶやいている。
(夏飛さんのお気持ちはこれっぽっちも理解されていないので、痛みはきっと気のせいでしょうね)
香蘭は心のなかで突っ込むが、妄想の世界の住人となっている彼女の耳にはなにを言っても届かないだろう。
(桃花さまの大好物は『三角関係』)
妃嬪選びの役には立ちそうにない、不要な情報をインプットしてしまった。
「あぁ、陛下と蘭楊さまと夏飛さまが三人でいらっしゃるところを、なんとしてでもこの目で見たいわ!」