(後宮ではなかなか見られない光景なので、余計にまぶしく感じるのかもしれません)
 ライバルである妃嬪同士が仲良くすることは非常に稀なのだが、彼女たちはちょっと特別だ。
(姉妹、ですものね)
 おまけに瑠璃妃、景桃花(けいとうか)と玻璃妃、景柳花(けいりゅうか)は双子なのだ。

 顔立ちや背格好はよく似ている。ふたりとも清楚で上品、いかにも良家の姫という佇まいをしている。頭の両側にふたつお団子を作っているのが姉の桃花で、真ん中にお団子ひとつなのが柳花。それが見分けるポイントになっているので、髪型をチェンジされたらやや迷ってしまうかもしれない。
(いえ、雰囲気の差でわかるでしょうか)

 こう言っては柳花に失礼かもしれないが、パッと目を惹く華があるのが姉の桃花。それで見分けがついてしまう気もする。
 こうして眺めていても、天真爛漫でコロコロと表情が変わる桃花に自然と目がいってしまう。
(身体があまり丈夫ではないと聞きましたが)
 たしかに柳花と比べるとやや線が細く、儚げだ。けれど、それもまた魅力となっているように思えた。
 妹の柳花は生真面目でお堅い印象を与える。秀由なんかはきっと、断然に桃花のほうがタイプだろう。
(けれど陛下は柳花さまのほうがタイプかもしれませんねぇ)
 そんな下世話なことを考える香蘭の背に声がかかった。
「あら、蘭楊さま」
 瑠璃宮に勤める顔なじみの女官だ。