秀由は机に顔を突っ伏しておおげさに嘆いてみせる。彼の仕事は皇帝の閨の管理。つまり、焔幽がいつ誰のもとに通い、どのくらいの時間を過ごしたかというのをつぶさに記録するのが使命である。下世話といえば下世話だが……本人の言うとおり、この部はわりと地位が高く宦官のなかでは出世コースともいえる職場だ。
にもかかわらず、こうして暇を持て余すのは真面目な彼には拷問に等しいのだろう。
「陛下はまだ若い。頭で小難しいことを考える前に、片っ端から味わってみればよいのだ。そもそもよい妃嬪の条件など、一にも二にも男児を産むこと。陛下がなにもしないのであれば、よい妃嬪は永久に誕生しないことになる」
発言だけを聞くと過激だが、彼の言うことも一理ある。香蘭は否定も肯定もせずに「ほうほう」と適当な相づちを打っておいた。
(たしかに。閨もまた、人間の本性が暴かれるシーンではありますね)
とはいえ焔幽自身がその手法を取る気はなさそうなので仕方あるまい。香蘭と秀由は小難しいことを考えて、焔幽の妻を選ばなくてはならない。
「秀由さんはどの女性を推薦されますか?」
彼はあまり考えることもせず、さくっと答えた。外見は思慮深い雰囲気の漂う老爺だが、案外と単純な性格のようだ。
「それはもちろん翡翠妃さまです」
予想どおりの答えだった。
にもかかわらず、こうして暇を持て余すのは真面目な彼には拷問に等しいのだろう。
「陛下はまだ若い。頭で小難しいことを考える前に、片っ端から味わってみればよいのだ。そもそもよい妃嬪の条件など、一にも二にも男児を産むこと。陛下がなにもしないのであれば、よい妃嬪は永久に誕生しないことになる」
発言だけを聞くと過激だが、彼の言うことも一理ある。香蘭は否定も肯定もせずに「ほうほう」と適当な相づちを打っておいた。
(たしかに。閨もまた、人間の本性が暴かれるシーンではありますね)
とはいえ焔幽自身がその手法を取る気はなさそうなので仕方あるまい。香蘭と秀由は小難しいことを考えて、焔幽の妻を選ばなくてはならない。
「秀由さんはどの女性を推薦されますか?」
彼はあまり考えることもせず、さくっと答えた。外見は思慮深い雰囲気の漂う老爺だが、案外と単純な性格のようだ。
「それはもちろん翡翠妃さまです」
予想どおりの答えだった。