ますは大本命の翡翠妃、明琳。今日も一分の隙もなく、あでやかだ。
「皇后。そうですわね、資質としてはわたくしが一番ふさわしいと自負しておりますわ」
「では、やる気があると思ってよろしいのでしょうか」
 明琳はふふっとほほ笑む。
「ですが、性格的には向かないかもしれないです。わたくしは月麗さまのように心が強くはありません。一歩引いて誰かを支えるほうが性に合っているのかも」
 完璧すぎる自己分析でぐうの音も出ない。明琳はにこやかに言った。
「わたくしは、不遇な立場から自らの力で玉座に座った陛下の強さと賢さをお慕いしております。ですので、陛下の決定に粛々と従う所存ですわ」
(となると、彼女は蒼貴人……嫌だ、ぴったりじゃないですか)

 続いて、琥珀妃、月麗。
「皇后? 三貴人? 別になんでもいいわ。私はただただ明琳さまに勝ちたいだけ!」
 国にも陛下にも政にも興味はない。興味があるのは明琳だけと熱烈な思いを告白されてしまい、香蘭は反応に困った。
(明琳さまも認める強靭なメンタルは皇后向きですが、この心構えの方に皇后をお任せするわけには……)