「私は有能なので、国内外を飛び回ることになるやも。そうすれば、雪寧さまの嫁ぎ先を訪ねることもできるでしょう」
「えぇ、そうね。そのときはまた、髪を結ってくれる? 明琳さまに負けないくらい綺麗にしてね。私の夫が見惚れるくらいに」
「もちろんです」

 それから数日。雪寧の嫁ぎ先選びは順調だと焔幽から聞いた。
 香蘭が彼女に伝えた言葉に嘘はなかった。女官香蘭の主はあくまでも雪寧でほかの人間に仕えたいとは思わない。となれば、このまま宦官でいる道も悪くないかもしれない。
(あぁ、でもまずは皇后と三貴人を決めなくてはなりませんね)
 自分の身の振り方はそのあとでいいだろう。
(ですが、みなさまがそれぞれに魅力的で決めかねます)
 優秀かどうかはわからないが、誰が皇后になっても楽しい千華宮になりそうだ。
 いっそ、本人のやる気で判断しようかと香蘭はひとりひとりを訪ねることにした。