「諦めましょう。もう彼を縛ることはできません」
香蘭はその言葉を目の前の幽鬼と、どこかで見ているであろう彼女に向けて言った。
「う、あ、ぐあぁぁぁ」
奇妙な叫び声をあげて、幽鬼は香蘭に襲いかかる。彼女の顔はドロドロと崩れ、ますます異形の化物に近づいている。香蘭の意識が遠のいていく。生気を吸い取られているのか、物理的に首を絞められているのか、もはや判断がつかない。
これ以上は無理とどうにか声をあげようとしたところで、なにかがシュッと飛び出してきた。
「香蘭!」
焔幽だった。彼は香蘭を強引に幽鬼から引きはがし、自分の背にかくまった。
幽鬼と焔幽が対峙する。焔幽の全身からぶわりと蒼い焔が立ちのぼる。すべてを焼き尽くすかのようなエネルギーがその場を支配していた。
(焔幽。最初は似合わぬ名だと思っていましたが、ぴったりでしたね)
氷のような男は見せかけ。彼はたしかにその身に猛々しい焔を秘めていたのだ。
「俺を痛めつけるのは構わぬ。好きにしろ、琵加」
焔幽の焔がまたその勢いを増した。まるで結界でも張ったかのように幽鬼がこちらに近づけなくなる。
(皇帝が持つという朱雀の加護、ハッタリではなかったのですね)
それとも、焔幽に振られたダメージで幽鬼が動けなくなっているだけだろうか。
「だが、香蘭に手を出すなら地獄へ送る」
(これはまた、ききそうなひと言を)
香蘭はその言葉を目の前の幽鬼と、どこかで見ているであろう彼女に向けて言った。
「う、あ、ぐあぁぁぁ」
奇妙な叫び声をあげて、幽鬼は香蘭に襲いかかる。彼女の顔はドロドロと崩れ、ますます異形の化物に近づいている。香蘭の意識が遠のいていく。生気を吸い取られているのか、物理的に首を絞められているのか、もはや判断がつかない。
これ以上は無理とどうにか声をあげようとしたところで、なにかがシュッと飛び出してきた。
「香蘭!」
焔幽だった。彼は香蘭を強引に幽鬼から引きはがし、自分の背にかくまった。
幽鬼と焔幽が対峙する。焔幽の全身からぶわりと蒼い焔が立ちのぼる。すべてを焼き尽くすかのようなエネルギーがその場を支配していた。
(焔幽。最初は似合わぬ名だと思っていましたが、ぴったりでしたね)
氷のような男は見せかけ。彼はたしかにその身に猛々しい焔を秘めていたのだ。
「俺を痛めつけるのは構わぬ。好きにしろ、琵加」
焔幽の焔がまたその勢いを増した。まるで結界でも張ったかのように幽鬼がこちらに近づけなくなる。
(皇帝が持つという朱雀の加護、ハッタリではなかったのですね)
それとも、焔幽に振られたダメージで幽鬼が動けなくなっているだけだろうか。
「だが、香蘭に手を出すなら地獄へ送る」
(これはまた、ききそうなひと言を)