実際、夜の闇にぼんやりと人が立っていれば、それだけで十分に怖い存在だろう。最近は幽鬼が出るといううわさが流行していたし、幽鬼を見たと思い込んでも不思議はない
(でも今回は、実際に幽鬼だった可能性が高いわけですよね。逢引きのついでに、無関係な人を襲うってことはないでしょうし)
「念のため確認しますが、その逢引きを疑われている宦官と襲われた彼は同一人物でしょうか?」
同じ人物なら無関係ではなくなる。たとえば、逢引き相手の女官が彼を恨んで切りつけた。宦官は逢引きをごまかすために幽鬼犯人説を主張。というような仮説を立てることもできるが……。
寿安は大急ぎで首を横に振る。
「いいえ! 被害にあった宦官の黄詠さんはものすごーくお堅い方で、女官と逢引きなどありえませんよ。プレイボーイのうわさがあるのは別の宦官です」
香蘭は唇を引き結ぶ。
(となると、残念ながら今の逢引き説は楽しいゴシップの域を出ないことになりますねぇ)
逢引きをしてようがしていまいが、幽鬼事件とはなんの関係もなさそうだ。
「そんなわけで、幽鬼ではなかったと決めつけて眠ってしまったんです。なので黄詠さんの被害を知ったのは朝になってからでした。今思うと、あのとき同僚と一緒にもう一度見に行くなどしていたら……」
(でも今回は、実際に幽鬼だった可能性が高いわけですよね。逢引きのついでに、無関係な人を襲うってことはないでしょうし)
「念のため確認しますが、その逢引きを疑われている宦官と襲われた彼は同一人物でしょうか?」
同じ人物なら無関係ではなくなる。たとえば、逢引き相手の女官が彼を恨んで切りつけた。宦官は逢引きをごまかすために幽鬼犯人説を主張。というような仮説を立てることもできるが……。
寿安は大急ぎで首を横に振る。
「いいえ! 被害にあった宦官の黄詠さんはものすごーくお堅い方で、女官と逢引きなどありえませんよ。プレイボーイのうわさがあるのは別の宦官です」
香蘭は唇を引き結ぶ。
(となると、残念ながら今の逢引き説は楽しいゴシップの域を出ないことになりますねぇ)
逢引きをしてようがしていまいが、幽鬼事件とはなんの関係もなさそうだ。
「そんなわけで、幽鬼ではなかったと決めつけて眠ってしまったんです。なので黄詠さんの被害を知ったのは朝になってからでした。今思うと、あのとき同僚と一緒にもう一度見に行くなどしていたら……」