「お前は謎が多い」
探るような目が香蘭を射貫く。彼の視線が香蘭の内側をのぞいてくるようだ。
「たとえば、お前は愛を信じていないだろう。誰からも愛されているのに、どうしてだ?」
背中がスッと冷えた。
香蘭は焔幽を理解しはじめていた、彼の光と闇を――。だが、同じだけ彼も香蘭に近づいているのだ。
艶然と、香蘭はほほ笑む。
「陛下。女は秘密があるから魅力的なのですわ。暴くのは無粋というもの」
煙に巻くように、香蘭は彼の頬をさらりと撫でた。が、その手をギュッと強くつかまえられてしまった。
「そうか? 俺は秘密を知れば知るほど、お前という人間に惹かれていくような気がするがな」
「なら、なおのこと暴いてはいけません。お伝えしたでしょう? 私に溺れてはなりませんと」
互いに目をそらさず、じっとにらみ合う。いや、これは熱く見つめ合っているのだろうか。
蘭朱だったときには感じたことのない、胸のざわめきだ。一瞬が永遠に感じられる。
「さぁ、衣に合わせた装身具も決めてしまいましょう」
その言葉に焔幽は従い、ふたりの攻防はいったん終了となった。
探るような目が香蘭を射貫く。彼の視線が香蘭の内側をのぞいてくるようだ。
「たとえば、お前は愛を信じていないだろう。誰からも愛されているのに、どうしてだ?」
背中がスッと冷えた。
香蘭は焔幽を理解しはじめていた、彼の光と闇を――。だが、同じだけ彼も香蘭に近づいているのだ。
艶然と、香蘭はほほ笑む。
「陛下。女は秘密があるから魅力的なのですわ。暴くのは無粋というもの」
煙に巻くように、香蘭は彼の頬をさらりと撫でた。が、その手をギュッと強くつかまえられてしまった。
「そうか? 俺は秘密を知れば知るほど、お前という人間に惹かれていくような気がするがな」
「なら、なおのこと暴いてはいけません。お伝えしたでしょう? 私に溺れてはなりませんと」
互いに目をそらさず、じっとにらみ合う。いや、これは熱く見つめ合っているのだろうか。
蘭朱だったときには感じたことのない、胸のざわめきだ。一瞬が永遠に感じられる。
「さぁ、衣に合わせた装身具も決めてしまいましょう」
その言葉に焔幽は従い、ふたりの攻防はいったん終了となった。