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 無機質なアラームの音が鳴る。
 スマホをタップしようと、わたしはベッドサイドに手を伸ばす。
 もそもそと探すけれども、なかなかスマホを掴めない。
 そうこうしているうちに、プツッとアラーム音が止まった。

「おはよう」

 目を開く。そこにはいつものように。

「志遠」

 知り合った頃より線が太くなった夫が、わたしの寝顔を覗き込んでいた。

「おはよう」
「コーヒー入れるから下りてきて」

 いつも繰り返す、タイムリープしたときの記憶の夢。
 夢から醒めて、わたしはいつも安堵の深呼吸をする。

 わたしは最愛の人を守ることができたんだ、と。

 志遠と二人並んで歩く世界には、今日も彩りが溢れている。


 今日の同窓会、何を着ていこうか。




(完)