私の朝は、天気予報アプリからはじまる。

 午前から午後、そして夕方にかけての天気を確認し、その結果によって一日のモチベーションが確実に変わるから。


「今日の、天気は……」

 ぼうっとした寝起きの意識。うすっぺらいスマホの画面を滑る指先だけが素早く動いた。

「最悪」

 わずらわしい感情を惜しみなくまとわせた自分の声。スマホを枕元に置いて、勢いのまま起き上がった。

 そして、深いため息を吐く。


「はあ……」


 今日の天気予報、晴れのち……雨、かもしれない。


 予報は百発百中というわけにもいかない。ときには曖昧であり、ハズレてしまうこともある。
 仕方がないことだとは理解していても、私にとってそれは大問題なのだ。


 私は沈んだ気持ちのまま、窓を覆ったベージュ色のカーテンを開けた。
 外を眺める。大小それぞれ異なった形の白い雲と、淡青の空が広がっていた。


「こんなに、良い天気なのにな」


 ずっと晴れならいいのに。
 私はそんなことを思いながら、身支度を整えるためパジャマを脱いだ。