部屋を出てやって来たのは調理場。
コック長は時雨に気づくと驚いた顔をする。
「時雨様?わざわざこんな所までいかが致しましたか⁈」
「お仕事中すみません。実は頼みたいことがあって。今宜しいでしょうか?」
「時雨様からのお願いでしたら。いつでも大歓迎ですよ!」
コック長は嬉しそうに対応してくれたので、お陰でスムーズに料理を受け取ることができた。お粥の入ったお盆を持って部屋に戻ればお翠はちゃんとベットにいてくれた。
「コック長に頼んでお粥を作ってもらいました。食べられそうなら食べて下さい。薬はさっき私が貰ってきたのがあるので。ここに置いときますね」
「…」
「あ、先にタオル変えなきゃですよね。新しいのを持って来るので待ってて下さい」
お翠は布団から顔を出せば黙って天井を見上げていた。
時雨からの声掛けには何も言わずただ黙っているので、額からタオルを取ると再び部屋を後にした。部屋を出て突き当りの角を曲がり、歩いていれば前方からは見知った人物が歩いてくる。
「ご当主様!」
「…時雨さんか」
前回から実に数日ぶりの登場に時雨は恐縮すれば慌てて頭を下げる。白夜とはまた違う、鬼頭家当主としての器の大きさと漂う妖力の気配に緊張感が走った。
「お久しぶりでございます」
「ああ、君と会うのは初回以来か。ここでの生活はどうだい」
「だいぶ慣れてきて、今では快適に過ごせています。皆様とても親切で。白夜様にも良くして頂いております」
「…そうか」
深夜は白夜の名前に驚くも直ぐに笑顔になった。
「アイツと上手くやれているのなら問題ない。これからも息子を頼む」
「はい」
「ところで」
深夜は次に少し難しい顔をすれば時雨を見つめた。
「今回の件について話は聞いた。うちの者が君に怖い思いをさせたな。本当にすまなかった」
「い、いえ、お気になさらなず!白夜様が助けに来てくれましたし。こうして無事に戻ることも出来ましたから」
時雨が慌ててそう返せば、深夜は目を丸くさせて次に笑った。
「そなたは優しい心の持ち主のようだ。アイツにもそれだけ情が湧いたということか、、、」
「??」
「いや、ではな」
深夜はそのまま時雨の横を通りすぎれば歩いて行ってしまった。
「すいません、遅れてしまって。あ、お粥食べてくれたんですね!」
タオルと変えの水が入った桶を持って帰れば、お翠はお粥を食べてくれていた。空になった茶碗に薬も飲んでくれたようなので一安心だ。時雨はお翠の額を手で触れ体温を確かめる。
「…熱はまだ高そうですね。これ、雪女の氷らしくて熱冷まし効果があるみたいですよ」
タオルをキンキンに冷えた冷水に浸して額へ乗せてやる。
そうしていればお翠が薄っすら口を開いた。
「…んで」
「はい?」
「なんで…私の世話なんかしてんのよ」
何処かぎこちなさそうに呟く。
それに目をパチクリさせた時雨は考え込む。
「それは…ん~んと、、倒れてたから?熱も高かったので」
「…ふん、バカな女。アンタを殺そうとした憎むべき女を前に随分余裕そうな顔すんのね。復讐できただろうに助けてどうすんのよ」
「復讐?しませんよそんなこと(笑)。それに苦しんでる人を助けることに理由とかいります?」
「は?」
その言葉にキョトンとするお翠。
時雨はそんなお翠にニコリと微笑んだ。
「いくら貴方に恨まれようと。苦しんでいる人がいたら迷わず私は助けます。私はここで、自分にとって、納得のいく生き方をすると白夜様と約束しました」
「…白夜様が?」
お翠はそう呟けば静かに目を閉じ過去の記憶を掘り起こした。
コック長は時雨に気づくと驚いた顔をする。
「時雨様?わざわざこんな所までいかが致しましたか⁈」
「お仕事中すみません。実は頼みたいことがあって。今宜しいでしょうか?」
「時雨様からのお願いでしたら。いつでも大歓迎ですよ!」
コック長は嬉しそうに対応してくれたので、お陰でスムーズに料理を受け取ることができた。お粥の入ったお盆を持って部屋に戻ればお翠はちゃんとベットにいてくれた。
「コック長に頼んでお粥を作ってもらいました。食べられそうなら食べて下さい。薬はさっき私が貰ってきたのがあるので。ここに置いときますね」
「…」
「あ、先にタオル変えなきゃですよね。新しいのを持って来るので待ってて下さい」
お翠は布団から顔を出せば黙って天井を見上げていた。
時雨からの声掛けには何も言わずただ黙っているので、額からタオルを取ると再び部屋を後にした。部屋を出て突き当りの角を曲がり、歩いていれば前方からは見知った人物が歩いてくる。
「ご当主様!」
「…時雨さんか」
前回から実に数日ぶりの登場に時雨は恐縮すれば慌てて頭を下げる。白夜とはまた違う、鬼頭家当主としての器の大きさと漂う妖力の気配に緊張感が走った。
「お久しぶりでございます」
「ああ、君と会うのは初回以来か。ここでの生活はどうだい」
「だいぶ慣れてきて、今では快適に過ごせています。皆様とても親切で。白夜様にも良くして頂いております」
「…そうか」
深夜は白夜の名前に驚くも直ぐに笑顔になった。
「アイツと上手くやれているのなら問題ない。これからも息子を頼む」
「はい」
「ところで」
深夜は次に少し難しい顔をすれば時雨を見つめた。
「今回の件について話は聞いた。うちの者が君に怖い思いをさせたな。本当にすまなかった」
「い、いえ、お気になさらなず!白夜様が助けに来てくれましたし。こうして無事に戻ることも出来ましたから」
時雨が慌ててそう返せば、深夜は目を丸くさせて次に笑った。
「そなたは優しい心の持ち主のようだ。アイツにもそれだけ情が湧いたということか、、、」
「??」
「いや、ではな」
深夜はそのまま時雨の横を通りすぎれば歩いて行ってしまった。
「すいません、遅れてしまって。あ、お粥食べてくれたんですね!」
タオルと変えの水が入った桶を持って帰れば、お翠はお粥を食べてくれていた。空になった茶碗に薬も飲んでくれたようなので一安心だ。時雨はお翠の額を手で触れ体温を確かめる。
「…熱はまだ高そうですね。これ、雪女の氷らしくて熱冷まし効果があるみたいですよ」
タオルをキンキンに冷えた冷水に浸して額へ乗せてやる。
そうしていればお翠が薄っすら口を開いた。
「…んで」
「はい?」
「なんで…私の世話なんかしてんのよ」
何処かぎこちなさそうに呟く。
それに目をパチクリさせた時雨は考え込む。
「それは…ん~んと、、倒れてたから?熱も高かったので」
「…ふん、バカな女。アンタを殺そうとした憎むべき女を前に随分余裕そうな顔すんのね。復讐できただろうに助けてどうすんのよ」
「復讐?しませんよそんなこと(笑)。それに苦しんでる人を助けることに理由とかいります?」
「は?」
その言葉にキョトンとするお翠。
時雨はそんなお翠にニコリと微笑んだ。
「いくら貴方に恨まれようと。苦しんでいる人がいたら迷わず私は助けます。私はここで、自分にとって、納得のいく生き方をすると白夜様と約束しました」
「…白夜様が?」
お翠はそう呟けば静かに目を閉じ過去の記憶を掘り起こした。



