次の日の朝食の時間。
私は食卓に現れた白夜様に早速、昨日の話をしてみた。
「で、世話の仕方が分からないと?」
「はい…ですので白夜様さえ宜しければ、私にこの子の世話の仕方を教えて頂きたくて」
「鳳魅はなんも言わなかったのか?」
「この子を先に見つけてお世話していたのは白夜様だと鳳魅さんから聞きました。この子が私と契約を交わしたとはいえ、私には何をどうしたらよいのかが分からなくて。だから白夜様に聞いてみろとアドバイスを貰ったのです」
契約したこの子は加護を与えてくれる身とはいえ、まだまだ幼く霊力に欠ける。
なんの知識も持たない人間の私が神獣をここからお世話し、立派な使役獣へ育てるには力不足だ。
ならば信頼できるアドバイザーに頼むのが一番だ。
その点、白夜様なら色んな知識に長けていると思ったのだ。
「駄目ですかね?」
「…」
私の問いかけに白夜様は何かを考え込むようにして黙り込む。すると部屋の中は一気に静寂に包まれた。
え…もしかして、変なこと聞いちゃったかな?
「あ、いえ!ダメならダメとそうと仰ってくれれば「明日」え?」
「明日の夜、空いているか?」
その謎の問いかけに、明日の夜は特に何も予定はなかったと思い頷く。
「そ。なら明日、出かけるぞ」
「ど、何処にですか?」
「妖都だ」
「妖都?」
妖都ってあの妖の王が住まう都のこと?
そこに出かけるということ?
「ああ、夜に部屋へ行くから予定入れるなよ」
「え、ちょ!」
白夜様はそれだけ言って立ち上がると部屋を出て行った。また朝食も食べずに行かれてしまった。
「もう…なんなの」
一人ポツンと取り残された私はぼんやりと出て行った部屋を見つめた。
あ、結局、蛇の件については何も答えて下さらなかった。
「時雨様!時雨様!」
白夜様が退室された直後、襖が勢いよく開け放たれればお香さんが興奮気味に入室してくる。ニヤニヤした顔で私の両肩に手を置けば、ゆさゆさと強く揺さぶった。
「今の聞きましたか⁈ついにあの若様が、時雨様をデートへと誘われましたよ!!」
「デ、デート?誰がですか?」
「もお〜、時雨様以外に誰がいるというのですか。今までどんな女性にも見向きすらしてこなかった、あの冷酷非道な若様がですよ!きゃ~、何だか見てるこっちまでがキュンキュンしちゃいます!!」
一人、顔に手をあてて喜ぶお香さん。
私は放心状態となる。
え?
いやいやちょっと待って。
デート?誰が?私が?誰と?白夜様と?
ないない。それだけは絶対にない。
あの白夜様だぞ?
彼はただ出かけると言っただけであって。
それが何故デートに繋がるのだ。
「え、いやいや。何か勘違いしていらっしゃるようですが、これはデートという訳では」
「もお~、時雨様ったら。そんな恥ずかしがらなくてもいいのですよ。大丈夫です、私ちゃんと先程までのやり取り聞いておりましたから」
ま、まさか聞かれていたとは。
デートだなんて。
でもそう考えてみるとなんだか急に恥ずかしくなってきた。
「若様との初めてのお出かけなのです。着ていく着物やメイク仕立てはこのお香に全てお任せ下さい!」
「あ、いやだから」
「明日は時雨様をもっと美しくしてご覧にいれますからね!」
「は、はい」
ダメだ、もう何も言い訳が出来ない。
私は気合いが入り切ったお香さんの感情に流されれば、返事をするほかなかった。
私は食卓に現れた白夜様に早速、昨日の話をしてみた。
「で、世話の仕方が分からないと?」
「はい…ですので白夜様さえ宜しければ、私にこの子の世話の仕方を教えて頂きたくて」
「鳳魅はなんも言わなかったのか?」
「この子を先に見つけてお世話していたのは白夜様だと鳳魅さんから聞きました。この子が私と契約を交わしたとはいえ、私には何をどうしたらよいのかが分からなくて。だから白夜様に聞いてみろとアドバイスを貰ったのです」
契約したこの子は加護を与えてくれる身とはいえ、まだまだ幼く霊力に欠ける。
なんの知識も持たない人間の私が神獣をここからお世話し、立派な使役獣へ育てるには力不足だ。
ならば信頼できるアドバイザーに頼むのが一番だ。
その点、白夜様なら色んな知識に長けていると思ったのだ。
「駄目ですかね?」
「…」
私の問いかけに白夜様は何かを考え込むようにして黙り込む。すると部屋の中は一気に静寂に包まれた。
え…もしかして、変なこと聞いちゃったかな?
「あ、いえ!ダメならダメとそうと仰ってくれれば「明日」え?」
「明日の夜、空いているか?」
その謎の問いかけに、明日の夜は特に何も予定はなかったと思い頷く。
「そ。なら明日、出かけるぞ」
「ど、何処にですか?」
「妖都だ」
「妖都?」
妖都ってあの妖の王が住まう都のこと?
そこに出かけるということ?
「ああ、夜に部屋へ行くから予定入れるなよ」
「え、ちょ!」
白夜様はそれだけ言って立ち上がると部屋を出て行った。また朝食も食べずに行かれてしまった。
「もう…なんなの」
一人ポツンと取り残された私はぼんやりと出て行った部屋を見つめた。
あ、結局、蛇の件については何も答えて下さらなかった。
「時雨様!時雨様!」
白夜様が退室された直後、襖が勢いよく開け放たれればお香さんが興奮気味に入室してくる。ニヤニヤした顔で私の両肩に手を置けば、ゆさゆさと強く揺さぶった。
「今の聞きましたか⁈ついにあの若様が、時雨様をデートへと誘われましたよ!!」
「デ、デート?誰がですか?」
「もお〜、時雨様以外に誰がいるというのですか。今までどんな女性にも見向きすらしてこなかった、あの冷酷非道な若様がですよ!きゃ~、何だか見てるこっちまでがキュンキュンしちゃいます!!」
一人、顔に手をあてて喜ぶお香さん。
私は放心状態となる。
え?
いやいやちょっと待って。
デート?誰が?私が?誰と?白夜様と?
ないない。それだけは絶対にない。
あの白夜様だぞ?
彼はただ出かけると言っただけであって。
それが何故デートに繋がるのだ。
「え、いやいや。何か勘違いしていらっしゃるようですが、これはデートという訳では」
「もお~、時雨様ったら。そんな恥ずかしがらなくてもいいのですよ。大丈夫です、私ちゃんと先程までのやり取り聞いておりましたから」
ま、まさか聞かれていたとは。
デートだなんて。
でもそう考えてみるとなんだか急に恥ずかしくなってきた。
「若様との初めてのお出かけなのです。着ていく着物やメイク仕立てはこのお香に全てお任せ下さい!」
「あ、いやだから」
「明日は時雨様をもっと美しくしてご覧にいれますからね!」
「は、はい」
ダメだ、もう何も言い訳が出来ない。
私は気合いが入り切ったお香さんの感情に流されれば、返事をするほかなかった。