白鬼の封印師

「やはり私の勘は当たっておりましたわ。ここで待っていればきっと会えると。信じていた甲斐ありましたわ」
「は、」

それはつまり、白夜の動向をずっと監視していたということ。
数週間前にもここに来ている。
最近になって現世で邪気による悪化が問題視されていると。
上から聞いて気になっていた為、視察も兼ねて訪れていたところだった。

「この前、駅で貴方を見かけたんです!!その時からここで一日だってかかさず待っていましたわ。今日はこの前から数えてちょうど二週間だし。きっとまた会えると思って」

そんな前からずっと知っていたのかよ…白夜は驚きを通り越して呆れていた。
過去も長くて数日ほどしか後を付けられなかったし、普段は隠世にいるせいか、次に来た時には被害もなく済んでいた。それをこの女は自分を見かけた日から二週間も探し続けていたと言う。
好きでもない。
ましてや知らない大嫌いな人間の女。
ちっとも嬉しくなんてなかった。
好き。
付き合って。
そんな言葉が自分に重くのしかかっていく。
好きになる保証など…何処にもないというのに。

「私、貴方に夢中なんですの。こんなにも胸が張り裂けそうで。だからきっとこれは運命なのね♡」
「何言ってんだ…」
「私と貴方は運命の糸で繋がれていますの!絶対に離れることは許されない。そんな運命同士に私達はあるのですわ。こんなにも魂が貴方に共鳴を求めてるんだから」

ポエムか!
思わずそうツッコみたくもなるようなバカバカしい妄想に嫌気が差す。
心のこもらない冷たい顔をしてれば女が近づいてきた。

「チッ、来んな。気持ち悪ぃよ、お前」
「!!」
「一目惚れだの運命だの。俺にはどうだっていいんだけど。だいたい嫌だって言ってるよな?俺には婚約者がいんだよ。…邪魔だ、さっさと消えろ」

女はそれに衝撃を受けたのか動かなくなってしまった。
白夜に手を伸ばす手は必死だったが、それは掠めることなく白夜はそそくさと人混みに消えていった。