最低だなんて、何をおっしゃっているのか……


お父様の存在はいつも温かく、嬉しくのに……


「私だけでも味方になれているのなら、それは良かった。だが、使用人の中でお前の味方はいないだろう?」


その言葉には押し黙った。


確かに私の味方はいない。


そもそも、屋敷でも“絶世の悪女”と呼ばれているから。


こんな私に味方なんているはずがない。


「今日迎える使用人だけでも、ルジェミアの味方になってくれればいいんだがな」


「私のことを考えてくださりありがとうございます」


お父様は本当に優しい人。


「その人が来るのは今日からだとおっしゃいましたよね?」


「あぁ、もうすぐ来るだろう」


その人もお父様みたいな人だったら、いいなぁ……


「話したいことはもうない。ルジェミア、もう戻りなさい」


「はい」


失礼しますと言ってから、書斎を後にした。


「長々と話していたわね」


すると、すぐそばにお義姉様が立っていた。


その声には何故か苛立ちも含んでいて……


どうして、怒っておられるの……?


「ちよっと来なさい」


「はい、分かりました」