それでも、やっぱり私は悪女でい続けないといけないから。
本当にごめんなさい。
心の中でもう1度謝った。
「あんな言い方しなくてもよろしいと思いませんこと?」
「酷い方ね。容姿も綺麗だというのに」
「だから、“絶世の悪女”と呼ばれているのでしょう?」
その声は小さいながらも、私の耳に届いた。
ズキッと心が痛む。
自分のせいだというのに、心を痛めるなんて自分勝手にも程があるよね。
小さく自嘲気味な笑みを漏らした。
*
「ただいま戻りました」
「あら、おかえり。ルジェミア」
家に帰るなり、挨拶を返してくれたお義姉様であるグレース・レイプラント。
そして、私はルジェミア・レイプラント。
私の家は序列2位の公爵家で、名誉も財力もある名家。