それでも、やっぱり私は悪女でい続けないといけないから。


本当にごめんなさい。


心の中でもう1度謝った。


「あんな言い方しなくてもよろしいと思いませんこと?」


「酷い方ね。容姿も綺麗だというのに」 


「だから、“絶世の悪女”と呼ばれているのでしょう?」


その声は小さいながらも、私の耳に届いた。


ズキッと心が痛む。


自分のせいだというのに、心を痛めるなんて自分勝手にも程があるよね。


小さく自嘲気味な笑みを漏らした。





「ただいま戻りました」


「あら、おかえり。ルジェミア」


家に帰るなり、挨拶を返してくれたお義姉様であるグレース・レイプラント。


そして、私はルジェミア・レイプラント。


私の家は序列2位の公爵家で、名誉も財力もある名家。