「あんたの母親、平民なんでしょ?だから、こんなに躾がなってないのかしら。卑しい人に育てられるってやあね」


その言葉には怒りを覚えた。


私のことはいい。


でも、お母様のことを侮辱なさるなんて……


「私のことはいいですけど、お母様のことを侮辱するのはやめてください!それに、お母様は平民ではありません!」


「あら、なあに。私に楯突こうと言うの」


パシン


頬を叩いた音が響いた。


叩かれたのは、私。


「貴族だったけど、途中で平民になったのよね。だったら、似たようなものじゃない。平民の娘の分際で、私に楯突こうだなんて思わないで」


もう1度お義姉様は睨み、部屋から出ていくところで……


「あら、あなた見かけない顔ね」


外にいる誰かに話しかけていた。


誰かいるの……?


あ、もしかして……


「はい。今日からルジェミア様の執事となる者です」


「ルジェミアの?」


何故かまた睨まれた。


どうして……?


「まぁ、ルジェミアの執事ということはロクな家門じゃなさそうね。卑しい者同士お似合いだわ」


吐き捨てるように言い切り、今度こそ去っていった。