眩しすぎる太陽の光が綺麗すぎて、青い空が眩しすぎて、私はどちらも苦手だった。

 曇り空や、雨の日がちょうどいい。

 雲や雨は惨めな自分を隠してくれるから。


「お邪魔しても大丈夫?」

「あ、七瀬の隣にいるのは、もしかして……」

「私の大切なプリームラ」


 プリームラは、プリマローゼにおもてなしされる側のこと。

 私は、七瀬ちゃんにもてなしてもらう側ということを示す単語が飛び交う。

 体温が急に上がったような気がして、私は自分の顔が真っ赤に染まっていないか顔を覆いながら七瀬ちゃんのあとを付いていく。


「好きに使っちゃって」

「ありがとう」


 中庭に案内されると、何人かの生徒が空に向かって伸びる桜の花を愛でていた。

 2人組で行動している人たちが多くて、ここにいる人たちは『おもてなし制度』で巡り合った先輩後輩なという間柄なのかもしれない。


「鹿野さん」


 布製の鞄からブランケットを取り出した七瀬ちゃんは、地面にそのブランケットを敷いて私を手招く。


「あの……」

「これでもう、制服は汚れないから大丈夫」


 ブランケットの上に腰を下ろして、七瀬ちゃんはそのまま体を倒して寝転んだ。

 中庭は私たちの貸し切りじゃないのに、七瀬ちゃんは自由奔放に動き回る。


「もう少し暖かくなると、最高のお昼寝ができるんだよ」


 一瞬だけ瞼を下ろした七瀬ちゃんだったけど、すぐに私のことを視界に入れてくれた。


「恥ずかしい?」


 首を横に振って、七瀬ちゃんの言葉を否定する。

 ここにいる生徒たちは、誰も私たちの行動を気にしていない。

 それに気づいた私は、急いで七瀬ちゃんの元に向かった。


「あの……その……」

「やっぱり恥ずかしいかな? 中庭で、横になるなんてね」


 七瀬ちゃんが用意してくれたブランケットの上に寝転がり、隣にいる七瀬ちゃんを見つめる。