◇
昼休みになると、るんちゃんはお弁当を持って私の前の席の椅子に座る。
「さて、なんの写真を投稿したい?」
「どれがいいと思う?」
この時点で興味を失っていることがわかりそうなのに、るんちゃんは気付かずに、ずっと楽しそうで、私のスマホのギャラリーを見ていく。
「これ、綺麗だね」
るんちゃんが言った写真は、一昨日撮ったものだ。
その日の朝、夜中に雨が降っていたようで、道端の葉には雫がたくさん付いていた。
それが綺麗だったから、スマホを向けた。
たったそれだけの一枚。
「これにしようよ」
るんちゃんにスマホを返されるけど、どうやって投稿すればいいのか知らない。
るんちゃんにすべてを任せようと思ったのに、笑顔で断られてしまう。
私がやらなければ意味がないということだろう。
わかっている。
渋々、アカウントを登録して以来開いていなかったアプリを開く。
おすすめの投稿が、たくさん流れてくる。
綺麗で楽しそうなものが、溢れている。
私の投稿なんて、必要がなさそうだ。
そう思って引き返そうとしたけど、るんちゃんはそれを見抜いているのか、その視線が逃がしてくれない。
仕方なく、るんちゃんにも画面が見えるように、机にスマホを置く。
そしてるんちゃんの指示通りに投稿をしていく。
「コメントはなくても投稿できるけど、せっかくだし、なにか書いてみようよ」
「そう言われても……」
書くことなんてないから、ただ『朝露』とだけ文字を打った。
そして『投稿する』と書かれた部分をタップする。
「これで投稿完了。これからゆっこの投稿、楽しみにしてるね」
こんなにも遠回しの圧があるのか。
私は苦笑しか返せない。
「私、ゆっこの写真好きなんだよね」
「るんちゃん、それはずるい」
るんちゃんはただ笑っているだけ。
本当に、ずるい子だ。
私は一つ、ため息をつく。
「あまり期待はしないでね」
私が投稿を続ける道を選んだからか、るんちゃんは笑顔で頷いた。
投稿を目的としてしまうと、写真を撮ることが楽しくなくなりそうで嫌だったけど、どうせ見るのはるんちゃんしかいない。
それは今までと変わらない。
ただひと手間増えるだけ。
るんちゃんが満足するまで、続けてみよう。
そんなことを思いながら、私はスマホをカバンに戻し、弁当箱を開いた。
昼休みになると、るんちゃんはお弁当を持って私の前の席の椅子に座る。
「さて、なんの写真を投稿したい?」
「どれがいいと思う?」
この時点で興味を失っていることがわかりそうなのに、るんちゃんは気付かずに、ずっと楽しそうで、私のスマホのギャラリーを見ていく。
「これ、綺麗だね」
るんちゃんが言った写真は、一昨日撮ったものだ。
その日の朝、夜中に雨が降っていたようで、道端の葉には雫がたくさん付いていた。
それが綺麗だったから、スマホを向けた。
たったそれだけの一枚。
「これにしようよ」
るんちゃんにスマホを返されるけど、どうやって投稿すればいいのか知らない。
るんちゃんにすべてを任せようと思ったのに、笑顔で断られてしまう。
私がやらなければ意味がないということだろう。
わかっている。
渋々、アカウントを登録して以来開いていなかったアプリを開く。
おすすめの投稿が、たくさん流れてくる。
綺麗で楽しそうなものが、溢れている。
私の投稿なんて、必要がなさそうだ。
そう思って引き返そうとしたけど、るんちゃんはそれを見抜いているのか、その視線が逃がしてくれない。
仕方なく、るんちゃんにも画面が見えるように、机にスマホを置く。
そしてるんちゃんの指示通りに投稿をしていく。
「コメントはなくても投稿できるけど、せっかくだし、なにか書いてみようよ」
「そう言われても……」
書くことなんてないから、ただ『朝露』とだけ文字を打った。
そして『投稿する』と書かれた部分をタップする。
「これで投稿完了。これからゆっこの投稿、楽しみにしてるね」
こんなにも遠回しの圧があるのか。
私は苦笑しか返せない。
「私、ゆっこの写真好きなんだよね」
「るんちゃん、それはずるい」
るんちゃんはただ笑っているだけ。
本当に、ずるい子だ。
私は一つ、ため息をつく。
「あまり期待はしないでね」
私が投稿を続ける道を選んだからか、るんちゃんは笑顔で頷いた。
投稿を目的としてしまうと、写真を撮ることが楽しくなくなりそうで嫌だったけど、どうせ見るのはるんちゃんしかいない。
それは今までと変わらない。
ただひと手間増えるだけ。
るんちゃんが満足するまで、続けてみよう。
そんなことを思いながら、私はスマホをカバンに戻し、弁当箱を開いた。