◇
翌日の昼休み、私は逃げ出したい衝動に駆られていた。
青空の広がる屋上には、日差しから逃げるように僅かな影に隠れる私と、ハルキ。
るんちゃんは?
水野君は?
どうして、こんなことになった?
「あの……月森さん、僕のせいで迷惑かけてごめんね」
そう思うなら、今すぐ教室に戻ってほしい。
私に関わらないでほしい。
そんなことを考えているくせに、誰かを傷付けてしまうような言葉を言うのは怖くて、私はハルキの声を聞き流していく。
「今日も迷惑かなって思ったんだけど、月森さんからメッセージが届いて、僕、嬉しくて」
ハルキは少しだけ困ったように笑いながら言う。
「……は?」
遅れて理解して、出た言葉はそれだった。
私の聞き間違いだろうか。
「私がメッセージを送ったって、いつ?」
「昨日。ほら」
ハルキに見せられたスマホには、たしかに昨日のメッセージが届いている。
だけど、私は、ハルキには送っていない。
『U』に送ったことは間違えていない。
まさか。
「貴方のアカウント、ハルじゃないの?」
「あれは、悠斗のアカウントなんだ」
もはや、なにが起きているのかわからない。
ハルが水野君で、Uがハルキ?
「……なりすまし?」
「いや、それはできないようになってるでしょ?」
学校からの仕組み上はそうだが、この状況からして、なりすまし以外になにがある。
「じゃあ名前は? ハルとU。どう考えても」
「あれはUと読むより、ローマ字読みをするんだ。僕の名前は、宇佐美春希だから。それから、悠斗の悠はハルって読める。ちゃんと、名前から外れてないでしょ?」
屁理屈を並べられている気分だ。
ということは、私に友達申請をしてきたのは、宇佐美君ということだったのか。
彼が私に興味を持ったというのは、本当だったらしい。
聞きたいこと、言いたいことはまだたくさんある。
「貴方たちは、私たちを騙していたのね」
だけど、二人のアカウントが逆だった。
たったそれだけの情報は処理しきれなくて、私は酷い言葉を投げつけた。
宇佐美君の傷付いた顔を横目に、私はその場を離れた。
教室に戻る途中、るんちゃんと出会う。
「ゆっこ、屋上に行かなかったの?」
るんちゃんの顔を見て、私は少しだけ冷静になり、自分がなにを言ったのか思い返した。
その後悔に押し潰されそうになり、助けを求めるように、るんちゃんに抱き着いた。
「ゆっこ?」
翌日の昼休み、私は逃げ出したい衝動に駆られていた。
青空の広がる屋上には、日差しから逃げるように僅かな影に隠れる私と、ハルキ。
るんちゃんは?
水野君は?
どうして、こんなことになった?
「あの……月森さん、僕のせいで迷惑かけてごめんね」
そう思うなら、今すぐ教室に戻ってほしい。
私に関わらないでほしい。
そんなことを考えているくせに、誰かを傷付けてしまうような言葉を言うのは怖くて、私はハルキの声を聞き流していく。
「今日も迷惑かなって思ったんだけど、月森さんからメッセージが届いて、僕、嬉しくて」
ハルキは少しだけ困ったように笑いながら言う。
「……は?」
遅れて理解して、出た言葉はそれだった。
私の聞き間違いだろうか。
「私がメッセージを送ったって、いつ?」
「昨日。ほら」
ハルキに見せられたスマホには、たしかに昨日のメッセージが届いている。
だけど、私は、ハルキには送っていない。
『U』に送ったことは間違えていない。
まさか。
「貴方のアカウント、ハルじゃないの?」
「あれは、悠斗のアカウントなんだ」
もはや、なにが起きているのかわからない。
ハルが水野君で、Uがハルキ?
「……なりすまし?」
「いや、それはできないようになってるでしょ?」
学校からの仕組み上はそうだが、この状況からして、なりすまし以外になにがある。
「じゃあ名前は? ハルとU。どう考えても」
「あれはUと読むより、ローマ字読みをするんだ。僕の名前は、宇佐美春希だから。それから、悠斗の悠はハルって読める。ちゃんと、名前から外れてないでしょ?」
屁理屈を並べられている気分だ。
ということは、私に友達申請をしてきたのは、宇佐美君ということだったのか。
彼が私に興味を持ったというのは、本当だったらしい。
聞きたいこと、言いたいことはまだたくさんある。
「貴方たちは、私たちを騙していたのね」
だけど、二人のアカウントが逆だった。
たったそれだけの情報は処理しきれなくて、私は酷い言葉を投げつけた。
宇佐美君の傷付いた顔を横目に、私はその場を離れた。
教室に戻る途中、るんちゃんと出会う。
「ゆっこ、屋上に行かなかったの?」
るんちゃんの顔を見て、私は少しだけ冷静になり、自分がなにを言ったのか思い返した。
その後悔に押し潰されそうになり、助けを求めるように、るんちゃんに抱き着いた。
「ゆっこ?」