「ジョージ君」

ノンちゃんが僕に声をかけてくる。

「ごめんね、わたしのせいで」
「あれはノンちゃんが悪いわけじゃない。あの男子生徒が悪い」
「そうそう、気にする必要はないって」
「……うん、でも、自分の責任だし、ちゃんと謝っておきたいから」

そういってノンちゃんは僕に向かって頭を下げる。

「じゃあ、手伝い、戻るね」
「うん、ありがとう」
「あの子、アンタにべったりよね」

ノンちゃんの姿がみえなくなってから瀬戸さんがぽつりと呟く。

「べったり?」

どういう意味だろう。

「アンタ、本当に気付いていないのね?」
「気付いていないって?」
「うーん、伝えてあげても良いかもしれないけれど、こういう事ってアンタが自分で決めないといけないことだろうし」

続けて尋ねようとしたけれど、彼女も体育祭の準備がある為に話を中断して去って行ってしまう。
ノンちゃんが僕にべったり?
どういう意味なのだろう?

「新城がいたら」

どんな言葉を僕に投げてくれただろう?
ここにいない相棒の事を考えながら僕もその場を離れることにした。






都会から離れた深い森の中。
そこに新城凍真はいた。
切り株の上に腰掛けて静かに目を閉じている。

「……来たか」

ガサガサと落ち葉を踏む音と共にこちらに近付いてくる怪異。

『みーつけたぁ』