翌日、母親が走ってきた。
「コージ君の家に救急車が停まってるのよ」
たしかに、サイレンの音がうるさく、近所で止まったとは思った。
でも、まさかコージの家の前?
近所の人たちが集合する。
ざわめきどよめく音がする。
部屋着のままでサンダルを履いて外に飛び出た。
運ばれていくのは、コージだった。
目を閉じていて、意識がないのだろうか。
昨日、あんなに元気だったのに。
そんなことがあるのだろうか。
コージの母親が付き添って救急車に乗って行った。
「もしかして、目の手術の後遺症なのかしら」
母親が言う。
昨日言っていた病気のせい?
それで、意識を失ったの?
もしかして、眠っているのだろうか?
全くわからない。
もちろん、彼のスマホに連絡をしても、返信はない。
その晩はほとんど眠ることができなかった。
大切な人が救急車で運ばれた。
そんなことは人生そうそうあるものではない。
翌日学校に行くと、朝のホームルームで担任が静かな口調で丁寧に話を始めた。
「蒼野コージ君ですが、昨日亡くなりました」
教室内がざわつく。
「実は、昨日救急車で運ばれたらしいのですが、既に自分の部屋のベッドで亡くなっていたそうです」
「どういうことですか?」
クラスメイトが聞く。
「彼には持病があったらしくて、眠るようにそのままあの世へ旅立ったと聞きました」
それ以上踏み込む者はいなかった。
この教室で唯一青い髪をした少年はもうここに来ることはない。
あの存在感を放つこともない。
私たちはそのまま何も言えず唖然としていた。
朝のホームルームが終わると、いつも通りの授業が始まる。
どことなく、教室内の雰囲気は澱んでいた。
仲良くしていた派手な女子は涙を流し、仲良くしていた男子も無言になっていた。
別世界にいたクラスメイトたちも、ただ、何も言えず、教科書とノートを見ている。
でも、きっと彼がいないことが普通になって、当たり前になってしまう。
だから、私がコージを忘れないことが一番彼のためになるような気がしていた。
昨日彼とかわした約束を一生忘れない。胸に刻む。
「コージ君の家に救急車が停まってるのよ」
たしかに、サイレンの音がうるさく、近所で止まったとは思った。
でも、まさかコージの家の前?
近所の人たちが集合する。
ざわめきどよめく音がする。
部屋着のままでサンダルを履いて外に飛び出た。
運ばれていくのは、コージだった。
目を閉じていて、意識がないのだろうか。
昨日、あんなに元気だったのに。
そんなことがあるのだろうか。
コージの母親が付き添って救急車に乗って行った。
「もしかして、目の手術の後遺症なのかしら」
母親が言う。
昨日言っていた病気のせい?
それで、意識を失ったの?
もしかして、眠っているのだろうか?
全くわからない。
もちろん、彼のスマホに連絡をしても、返信はない。
その晩はほとんど眠ることができなかった。
大切な人が救急車で運ばれた。
そんなことは人生そうそうあるものではない。
翌日学校に行くと、朝のホームルームで担任が静かな口調で丁寧に話を始めた。
「蒼野コージ君ですが、昨日亡くなりました」
教室内がざわつく。
「実は、昨日救急車で運ばれたらしいのですが、既に自分の部屋のベッドで亡くなっていたそうです」
「どういうことですか?」
クラスメイトが聞く。
「彼には持病があったらしくて、眠るようにそのままあの世へ旅立ったと聞きました」
それ以上踏み込む者はいなかった。
この教室で唯一青い髪をした少年はもうここに来ることはない。
あの存在感を放つこともない。
私たちはそのまま何も言えず唖然としていた。
朝のホームルームが終わると、いつも通りの授業が始まる。
どことなく、教室内の雰囲気は澱んでいた。
仲良くしていた派手な女子は涙を流し、仲良くしていた男子も無言になっていた。
別世界にいたクラスメイトたちも、ただ、何も言えず、教科書とノートを見ている。
でも、きっと彼がいないことが普通になって、当たり前になってしまう。
だから、私がコージを忘れないことが一番彼のためになるような気がしていた。
昨日彼とかわした約束を一生忘れない。胸に刻む。