
作品番号 1691787
最終更新 2023/03/22
君と痛みを分かち合いたい
響ぴあの/著
現代ファンタジー
2ページ 完
総文字数/ 20,610
ランクイン履歴:
総合:94位(2023/03/26)
現代ファンタジー:3位(2023/03/26)
ファンタジー:20位(2023/03/26)
恋愛ファンタジー:16位(2023/03/26)
一か月前に姉が津波で亡くなった。
家族の心はバラバラになってしまった。
大好きだったバスケもケガでできなくなった。
深く、たくさん傷をつけると心の痛みが少し無くなるような気がする。
傷をつける瞬間が心地いい。そして、次に来る痛みと罪悪感。
私は何をしているのだという客観的な自分を感じる。
その繰り返しを何度も儀式のように行っている。
もちろん誰にも知られないように、息をひそめるように――。
「その傷痛そうだなぁ」
見たこともない男子が放課後の誰もいない教室にいた。
傷のことは誰にも知られていないはずだ。
誰にも見られないようにいつも長袖を着るようにしていた。
見えない場所にしか傷をつけていなかった。
そして、心の傷は絶対に見えないのに、どうして?
「俺、心と体の傷の痛みがわかるんだよ。キュウメイキだから」
「キュウメイキ?」
「吸血鬼みたいな感じかな。メイは命とかいて命を吸う鬼と書くんだけどね。普段は普通に高校生をやってるんだけど、人の寿命を吸い取らないとだめな体質なんだ。吸血鬼ならば血になるけれど、俺の場合は命なんだ。痛みを感じている人間を探して、契約するのが生業だ」
「はぁ?」
「君はとても辛そうにしていたから、本当は死にたいんでしょ。楽に死ぬ手伝いをさせてよ。俺が寿命を吸い取れば、いつのまにか死ねるよ」
家族の心はバラバラになってしまった。
大好きだったバスケもケガでできなくなった。
深く、たくさん傷をつけると心の痛みが少し無くなるような気がする。
傷をつける瞬間が心地いい。そして、次に来る痛みと罪悪感。
私は何をしているのだという客観的な自分を感じる。
その繰り返しを何度も儀式のように行っている。
もちろん誰にも知られないように、息をひそめるように――。
「その傷痛そうだなぁ」
見たこともない男子が放課後の誰もいない教室にいた。
傷のことは誰にも知られていないはずだ。
誰にも見られないようにいつも長袖を着るようにしていた。
見えない場所にしか傷をつけていなかった。
そして、心の傷は絶対に見えないのに、どうして?
「俺、心と体の傷の痛みがわかるんだよ。キュウメイキだから」
「キュウメイキ?」
「吸血鬼みたいな感じかな。メイは命とかいて命を吸う鬼と書くんだけどね。普段は普通に高校生をやってるんだけど、人の寿命を吸い取らないとだめな体質なんだ。吸血鬼ならば血になるけれど、俺の場合は命なんだ。痛みを感じている人間を探して、契約するのが生業だ」
「はぁ?」
「君はとても辛そうにしていたから、本当は死にたいんでしょ。楽に死ぬ手伝いをさせてよ。俺が寿命を吸い取れば、いつのまにか死ねるよ」
- あらすじ
- 一か月前に姉が津波で亡くなった。
家族の心はバラバラになってしまった。
大好きだったバスケもケガでできなくなった。
傷をつける瞬間が心地いい。そして、次に来る痛みと罪悪感。
キュウメイキ(吸命鬼)と名乗る同じ高校の同級生、九重メイキとの出会い。
契約をすれば寿命を吸ってくれるらしい。
メイキには遺伝的体力的な事情があって、契約が必要らしい。