志築達の足音が、遠ざかるのを確認してから、静かに白虎へと僕は、紫色の眼差しを向ける。

「……ご飯の時間、待たせたね、白虎……もう食べていいよ。」

涎と血にまみれた床に寝そべりながら、白虎は口に含んだ肉を味わうように貪り始めた。骨の砕ける音と肉の千切れる音だけがら繰り返される。

どんなに残酷で、惨く血に歪んだ景色も、僕は主君のためなら、喜んで目に焼き付けるだろう。

「……残さず食べてね。」

僕は、白虎を眺めながら、ふわりと笑った。

ーーーーそして、誰も居ないはずの隣の部屋へと続く襖へと踵を返す。

「さてと、お待たせ致しました」

バンっと乱暴に足で襖が開かれ、その男は、悠々と腕を組みながら、こちらへと歩み寄ってきた。

「……秋宮のお坊っちゃん、顔合わすのは久しぶりだな……」

「えぇ、15年ぶりでしょうか?」

僕は、目の前の相手に微笑んだ。