「志築、大丈夫か?」

融と康介が、俺を二人で抱え上げるようにして支えながら、心配そうに覗き込んでいる。

「はぁっ……くそっ……はっ……」

息が苦しい。冴衣の霊力を介してビジョンを見たことで、予想よりも霊力を削がれた。

融が、俺の額に手を当てると、すぐに治癒の言霊を唱える。

「志築、大丈夫か?」

「あぁ……少し……楽になった。急がないと……あいつ冴衣を……監禁してる。」

「え?冴衣ちゃんが見えたのか?!どこに!?」

「……わからないっ。あの、屋敷……?」

「志築様、冴衣様は、どこかのお屋敷に?」

くそっ、どこだ!ーーーー考えろ。冴衣をどうやって連れ去った。どこにいる?そう、あの屋敷、どこかで。あの丸い窓!どこだ?


………真遥。どこかで見た、思い出せ!


「……融、御津宮の別荘で丸い窓のあるとこ、どこだ?」

「丸い……窓。……志築様、御津宮の別荘で丸い窓のあるところは一箇所だけで御座います。
調布の屋敷のみと記憶しております」

「そこだ、冴衣は!」

「志築、急ごう」 

「康介様!」

カチャンと車のキーが投げられる。

「康介様、志築様をお願い致します。……ここの後始末は、僕にお任せください。すぐ追いかけますので」

「融」

「康介様、わかっています」

「ならいい、志築、行こう」

俺は、融に視線を向けた。

「融、待ってる」

「承知致しました」